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『栄光への道を祝福のキスに包まれて』


【2009年 中山牝馬ステークス】

 プロらしい技術を誇り、息長く活躍させるのに定評がある戸田博文厩舎。礎を築いた名牝がキストゥヘヴンだった。チーム初となるクラシックの栄冠を勝ち取ったうえ、引退レースを勝利で締めくくり、最高の競走生活を送っている。
 社台グループ(馬主は吉田和子氏)の所属ながら、北海道市場(オータムセール1歳)にて970万円で落札。父はダービーを制したアドマイヤベガ。牝馬2冠に輝いた母にサンデーサイレンスが配された名血である。母ロングバージン(1勝)は、エリザベス女王杯を制したロンググレイスの半妹にあたる。天国に旅立った父や、母父のノーザンテーストへキスが届くように願って命名された。
 天性のスピードを生かすべく、2歳12月に中山の1200m(2着)でデビュー。続くダートの2戦も2着に惜敗したが、距離を延ばした中山の芝1600mで2馬身差の楽勝。フラワーCも鮮やかに連勝する。脚を温存すれば、非凡な決め手を駆使できることを証明した。
 勢いに乗り、桜花賞を完勝。後方の位置取りから大外一気に突き抜けた。手綱を取った安藤勝己騎手は、こう驚きの表情を浮かべた。
「こんなにあっさり勝てるなんて。気性が勝っていて、ともするとガツンと行きたがるから、道中は折り合いに専念した。勝負どころでも手応えに余裕があったし、追い出して切れに切れたね」
 テンションが上がりがちな面に配慮し、金曜に競馬場へ移動して臨んだオークスだったが、距離延長が響いて6着。長距離輸送を避けてセントライト記念(5着)より再スタートさせた秋シーズンも、秋華賞(6着)、エリザベス女王杯(10着)と不完全燃焼に終わる。
 ヴィクトリアマイル(4着)、アメリカに遠征して挑んだキャッシュコールマイル(4着)などで見せ場をつくりながらも、4歳時は未勝利。そんななかでも、陣営は時間をかけて丁寧に心身を磨き続ける。京都牝馬S(3着)、中山牝馬S(3着)、京王杯SC(2着)と、安定して上位を賑わすようになった。京王杯AHでは2年5か月ぶりにトップでゴールを駆け抜ける。
 不良馬場に泣いた東京新聞杯(10着)を経て、いよいよ卒業の季節が到来。深い愛情を注いだステーブルの思いに応え、中山牝馬Sは最高のパフォーマンスを披露する。インの先行タイプに有利な馬場状態を読み、横山典弘騎手は躊躇なく前目に導く。人馬の呼吸はぴたり。力強く馬群を割った。
 久々の騎乗となったジョッキーだが、フラワーCを勝ち切り、桜花賞への道を拓いた功労者。完璧なレースを満足げに振り返る。
「馬がすごく良くなっていた。スタッフが一所懸命に仕上げてくれたおかげだよ。落ち着きがあり、走りに集中。追い込みのイメージが強いけれど、自分としては好位差しもできると思っていたんだ。トップハンデ(56・5キロ)を背負っていたしね。ずっと楽な反応。4コーナーで内に入っていったとき、もう勢いが違った。さすがG1ホース。直線も底力の差。強烈だったよ」
 いまのところJRAを勝ち上がった産駒はいないものの、引き続き大きな期待が寄せられているキストゥヘヴン。優秀なファミリーだけでなく、明るい未来へと、母としてもキスを送るに違いない。
 


第27回 中山牝馬ステークス(GⅢ)
1着キストゥヘヴン   牝6 56.5 横山典弘 戸田博文
2着ピンクカメオ    牝5 54  後藤浩輝 国枝栄
3着ダンスオールナイト 牝6 53  三浦皇成 加藤征弘

 単勝   810円
 枠連 19,260円
 馬連 21,930円
 馬単 39,190円

3連複  230,760円
3連単 1,394,370円




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