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『若きエネルギーを狙ったゴールに集約させて』


【2007年毎日杯】

 2歳5月に栗東へ入厩すると、短期間で函館競馬場へ移って出走態勢を整えたナムラマース。追い切りを2本だけ消化しただけで、翌月の新馬(芝1200mを5着)に登場した。
 当時の状況について、調教パートナーを務めた柴田利秋調教助手はこう振り返る。
「デビュー前から優等生だった。あえて課題を挙げれば、馬場に入ると一所懸命になりすぎるところ。真面目すぎるんだね。じっくり仕上げた方がいいタイプかなって感じていても、こちらの要求を楽々とこなしてしまい、ゲート試験も2週間で合格。小さくてもバネがあって、ダイナミックなフォームで走るんだ。タイプは違うけど、柴田不二男厩舎の一員だったころに跨ったライブリマウント(重賞6勝)と同様、油断すると持っていかれちゃう。久々に味わう感触だったよ」
 同条件での2着を3回続けた後、札幌の芝1800mに臨んだところ、5馬身差の快勝を収める。コスモス賞も好位から危なげなく抜け出し、札幌2歳Sへ。向正面でペースが落ち、先行勢に有利な流れとなったなかでも、最後まで闘争心は衰えなかった。外を回して直線へ向き、ぐんぐん猛追。きっちりと捕え、クラシック候補に踊り出る。
 あっという間の変貌に、管理する福島信晴調教師も驚きを隠そうとしなかった。
「案外やるなって思ったけど、走る確信なんて、まだまだ。華奢だし、血統的にも地味(母はフレンチグローリーの肌で、1勝したビストロドゥパリ)だからね。安藤勝己騎手が『スピードに乗るのに時間がかかる。距離が延びた方がいいですよ』って言ってくれて、そのとおりに5戦目で勝ち上がれた。それでも、連勝する自信なんて、とてもとても。コスモス賞をレコードで差し切り、ようやく重賞のタイトルを意識した。俄然、硬くなったよ。いい意味でこちらの想像を裏切って、一戦ごとに成長している」
 大きな期待を背負い、ラジオNIKKEI杯2歳(3着)、きさらぎ賞(2着)へ。そして、毎日杯で二つ目のタイトルを奪取する。
 藤岡佑介騎手も、卓越した才能を賞賛した。
「コスモス賞で初めて跨ったわけですが、返し馬で感心したのは、全身を柔らかく使うし、動きに無駄がないこと。そのときは血統もよく確認していなかったのですが、以前に調教を付けたことがあるマーブルチーフ(京都新聞杯を優勝)に似ていると思いましたよ。やはりチーフベアハート産駒でした。父の良さが出ているのでしょう。札幌2歳Sは厳しい展開。うまく乗れず、馬に勝たせてもらいましたね。これが3回目の騎乗(前2走はオリベエ・ペリエ騎手)。期するものがありましたよ。イメージは、もう少し前目のポジション。でも、どんな競馬もできますので、自信を持って中団を追走しました。コーナーでスムーズに進出。外へ出して追い出すと、体を目一杯に使い、弾むように伸びましたね。乗っていて、ほんと気持ちがいい馬です」
先行勢に有利な展開が響き、皐月賞は11着。外から被せられてリズムに乗れず、ダービーも8着に終わった。得意の洋芝を求め、函館記念に挑戦したものの、前がふさがる不利があって6着。レース後、右前脚に屈腱炎を発症してしまう。
 4歳の暮れになって調子を取り戻し、鳴尾記念や日経新春杯を2着したが、ここで脚元は限界に達する。長期休暇を繰り返しても、結局、万全の態勢を取り戻せず、7歳で地方(金沢で4勝)へ転入した。
 大きな夢を運んだターフのマース(ローマ神話の軍神)。いつまでも青春のエネルギーに満ちたまま、携わった人々の胸のなかで走り続けている。
 


第54回 毎日杯(GⅢ)
1着ナムラマース   牡3 57 藤岡佑介 福島信晴
2着ヒラボクロイヤル 牡3 56 武幸四郎 大久保龍志
3着ニュービギニング 牡3 56 武 豊  池江泰郎

 単勝  200円
 枠連  700円
 馬連  820円
 馬単 1,070円

3連複  2,700円
3連単  8,860円




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