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『まばゆい稲光に彩られた夏夜の戴冠式』


【2012 年帝王賞】

 3歳の3月に美浦・藤沢和雄厩舎よりデビューしながら、芝の6戦を勝ち上がれず、ホッカイドウ競馬に転出したゴルトブリッツ。2戦を楽勝して再転入の条件をクリアした後、栗東の吉田直弘厩舎にやってきた。
 担当を任された村井宏輔調教助手は、こう幸運な出会いを振り返る。
「当初から並々ならぬパワーが伝わってきました。地方での勝ち方や硬めの歩様からも、ダート向きに思えましたね。とても賢く、扱いやすいのですが、オン・オフがはっきりしていて、いざとなれば気合いが乗る。それでも、実戦での走りは想像以上でしたよ」
 様々なカテゴリーに一流馬を送り出したスペシャルウィークの産駒。母レディブロンド(その父シーキングザゴールド)は、5歳6月に競走生活をスタートさせた遅咲きだったが、芝1200mを一気に5連勝した類稀な経歴の持ち主であり、わずか3か月半後にスプリンターズS(4着)へも駒を進めている。その半姉がヴェイルオブアヴァロン(米G3のデラローズHなど7勝)、半弟にディープインパクト(G1を7勝、年度代表馬2回)、ブラックタイド(スプリングSなど3勝)などがいる豪華なファミリー。同馬の半姉にラドラーダ(4勝)がいて、先日の日本ダービーを制したレイデオロの母となった。
 500万条件(阪神のダート1800m)を7馬身差の楽勝。いきなり高いハードルに臨んだ東京大賞典は7着に敗れたものの、1000万下(京都のダート1900m)、門司Sと危なげない連勝を収める。そして、11年のアンタレスSでは早くも重賞ウイナーに輝いた。勝負どころでまくられて中途半端に脚を使った東海S(5着)を経て、マーキュリーCも制する。
「突発性の症状とはいえ、みやこS(15着)で心房細動を発症。4か月の休養を挟んでも、苦しい思いをしたことが影響し、全力を出してくれないのではないかと心配していました。だから、仁川S(1着)は無事に走り終えただけでうれしくて。先々を見据えて、明らかに緩さが残る状態で復帰させたんです。それでいて、あの強さ。能力を再認識しました」
 2度目となるアンタレスSも、1・7倍の断然人気に応えて連覇を飾る。前年以上に余裕を感じさせる2馬身差だった。軽い熱発があり、大事を取って東海Sは回避したものの、すぐに体調は安定する。
「常に一生懸命な性格だけに、好調を維持させるのに難しさがありました。大型なので暑さも得意ではない。そんななかでも、思い描いた通りに状態を上げ、夢はふくらむ一方でしたね。無理せず、流れに応じて競馬ができるうえ、コース形態や馬場状態も問いません」
 いよいよG1を狙う態勢が整い、帝王賞に臨む。堂々と3番手を進み、直線では先行勢を楽々と競り落とす。3馬身半も差を広げてゴール。「黄金の稲妻」(ドイツ語)との名にふさわしい衝撃的なパフォーマンスだった。
 会心の勝利に、川田将雅騎手も晴れやかな笑顔を浮かべた。
「慣れないナイターなのに落ち着きがあり、返し馬もいい感じ。また進歩した手応えがありました。うまくゲートを出て、ポジションも理想的。ペースが遅かったので、ちょっと力んだりもしましたが、我慢は利いていましたよ。エスポワールシチー(2着)が渋太いと見て、早めに追い出したとはいえ、十分に交わせる自信がありました。もともと高い素質をフルに発揮できるようになったところ。これからも無事に歩み、ダート界を引っ張り上げる存在になってほしいですね」
 ところが、その願いは実らず、放牧先のノーザンファームしがらきで腸捻転を発症。この世を去ってしまった。歓喜の戴冠から2か月後の早すぎる別れだった。深い愛情を注いだ村井さんの心は、ぽっかりと穴が開いたままに違いない。
 それでも、ゴルトブリッツの雄姿は、多くのファンの目にはっきり焼き付いたまま。いつまでも記憶のなかを走り抜けては、烈しく雷鳴を轟かせている。
 


第35回帝王賞競走(JpnI)
1着ゴルトブリッツ   牡5 57 川田将雅 吉田直弘
2着エスポワールシチー 牡7 57 佐藤哲三 安達昭夫
3着テスタマッタ    牡6 57 岩田康誠 村山明

 単勝  300円
 枠連  440円
 馬連  470円
 枠単  730円
 馬単  880円

3連複   390円
3連単  1,940円




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