重賞コンテンツ

『梅雨空を切り裂く父譲りの閃光』


【2006年 ラジオNIKKEI賞】

 天皇賞・春まで重賞4連勝を飾り、宝塚記念、天皇賞・秋も手中に収めたタマモクロス。種牡馬入りしてからも多数の個性派を送り出しているが、最後の重賞ウイナーとなったのがタマモサポートだった。
 母アンサーミー(その父ジョリーズヘイロー、未勝利)は1戦したのみで繁殖入りした。同馬の半弟にタマモスクワート(3勝、地方5勝)がいる程度の地味なファミリーでも、祖母の半兄は愛G3・アシュフォードカースルSに勝ったウィズアウトリザーヴ。ヨーロッパの短距離で実績を残した血脈だ。
 父譲りの前向きな性格。2歳11月に京都の芝2000mで新馬勝ちを収めた。続くエリカ賞も2着。折り合い面に課題を残し、ラジオたんぱ杯(8着)、福寿草特別(6着)と連敗したものの、つばき賞をあっさり逃げ切る。
 スプリングS(4着)、青葉賞(7着)と、厚い壁に跳ね返されたものの、ますます闘志は燃え盛っていた。常に調教で動けたとはいえ、クラシックへと進めなかった無念を晴らすべく、陣営もワンランク上の負荷をかけた。ラジオNIKKEI賞では、会心のパフォーマンスを披露する。
 生憎の重馬場となったが、パワーを兼備した個性である。小回り特有のハイペースも、行きたがる面をカバーするのに好都合。好位のインを抑え切れないほどの手応えで進み、楽々と抜け出した。熾烈な2着争いを尻目に、2馬身差の快勝を収める。
 騎乗した津村明秀騎手にとっても、これが初となる重賞のタイトル。こう喜びを爆発させた。
「うれしくて仕方ありません。巡り会いに感謝するしかないですね。初めて跨りましたが、これまで手綱を取ってきたのは同期の藤岡佑介騎手。癖などは聞いていましたし、とても乗りやすかった。前半で力んでも、向正面からリズムに乗れましたよ。直線は早めに先頭へ。それでも、余裕がたっぷりありました。精神面が大人になれば、さらに上を目指せます」
 飛躍が期待された3歳秋だったが、蹄の不安に泣かされる。神戸新聞杯(11着)を走り終え、翌春まで休養。使われて調子を上げ、福島テレビOP(ハナ差の2着)、博多S(3着)と善戦した後、天の川Sを順当勝ちした。
 5歳になり、東京新聞杯や関屋記念で3着したとはいえ、引っかかって不完全燃焼に終わることが多く、12連敗を喫してしまう。久々にトップでゴールを駆け抜けたのがキャピタルS。気が合う津村騎手を背に、2馬身半の快勝だった。
 前走をフロック視され、単勝13・8倍の7番人気に甘んじた京都金杯だったが、ここでもジョッキーは離れた3番手で脚をためることに成功。一気に突き抜けて2馬身の差を広げた。
 縁起が良いとされる年初の名物レースを勝ち切ったことで、ますます勢いに乗ったタマモクロスとは対照的に、以降は苦悩の連続。徐々に歩様の硬さが目立つようになり、精神的にも懸命さを失っていった。7歳時の新潟大賞典(14着)がラストラン。乗馬となり、静かに余生を送っている。
 晩年の傑作として父の名を高め、ファンに親しまれたタマモサポート。「稲妻2世」のなかでも、鮮明な閃光を放った逸材だった。
 


第55回 ラジオNIKKEI賞(GⅢ)
1着タマモサポート   牡3 54 津村明秀 藤岡健一
2着ソングオブウインド 牡3 54 田中勝春 浅見秀一
3着ステラマドレード  牝3 51 村田一誠 鮫島一歩

 単勝  880円
 枠連 1,220円
 馬連 2,130円
 馬単 5,580円

3連複  16,100円
3連単  95,770円




Copyright © 2006 WORLD, Inc All Rights Reserved.
このサイトに掲載の記事・写真・映像などの無断複製、転載を禁じます。すべての著作権はWorldに帰属します。

前のページへ戻る

PAGE TOP