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『天に届いた七夕の宿願』


【2015年 七夕賞】

 社台ファームでの育成時より垢抜けた好スタイルを誇っていたうえ、優れた体力も垣間見せていたグランデッツァ。JRA総合リーディングサイアーを獲得した翌年(09年)にこの世を去ってしまったものの、サンデーサイレンスの後継ではエース格といえるアグネスタキオンの産駒である。トップの座を固めたタイミングで種付けされた世代だった。
 母はアイルランド生まれのマルバイユ(その父マルジュ)。フランスのG1・アスタルテ賞に優勝した。イギリスの重賞でも入着。イタリアでは10勝をマークしている。祖母のハムバイも5勝した活力に富むファミリー。同馬のひとつ上の半姉が桜花賞を制したマルセリーナ。社台サラブレッドクラブにラインナップされ、総額6000万円で募集された。
 平田修調教師は、こう若駒当時を振り返る。
「1歳の初夏に出会った瞬間、雄大なスタイルにひと目ぼれしてしまった。牧場サイドの期待もひしひしと伝わってきたね。十分な乗り込みを消化し、2歳7月に函館競馬場へ。育成段階では気性が勝っているように映り、慎重に接していこうと考えていたのに、環境が変わっても落ち着いたままだった。10日後にはあっさりゲート試験をパスでき、無理なく出走態勢が整ったよ。それほど目立たなかった動きも、直前になれば評判馬に楽々と先着。やはりものが違うと思わせた」
 翌月の札幌、芝1800mでデビュー。惜しくも2着に敗れたが、のんびりしすぎ、出遅れたのが敗因である。続く未勝利では、余力たっぷりに8馬身差のワンサイド勝ちを収めた。
「がらっと変わったあたりは学習能力の高さだね。もともとのセンスが顕在してきた。もちろん、不安があれば使わないところだけど、札幌2歳Sへは中1週。現状維持に努めた結果だよ。緩んだ馬場にトモを滑らせ、走りにくそうだったのに、よく凌いでくれたと思う」
 馬なり中心の調整しか課していなくても、堂々の重賞ウイナーに登り詰めた。早くもクラシック路線に乗れ、ゆったりしたローテーションを組む。ラジオNIKKEI杯2歳Sはゴール前で甘くなり、3着に敗れたとはいえ、内容としては上々だった。3か月間のリフレッシュを挟み、春シーズンはスプリングSより始動した。
 好位で脚をため、余力たっぷりに追走。直線入口ではディープブリランテ(2着)に寄られ、外を回るかたちとなったが、難なく抜け出した。
「フットワークが大きいので、重馬場になったのが不安だった。いったん2着馬に離されたのに、あんな脚を使えるなんて。改めて強さを実感したね。ただ、皐月賞(5着)は、さらに使い込まれた馬場で、やや重でもノメってしまって。外枠のロスも大きかった」
 1冠目を制したのはゴールドシップ。パワーを生かしたイン強襲が決まった。大目標のダービーも距離延長が堪え、ディープブリランテの10着。ここで左前脚に屈腱炎を発症するアクシデントがあり、1年9か月も沈黙することとなる。
「過度に負担がかかりすぎないよう、まずはダートで復帰させた。2回使っても反動がなかったことで、芝へ送り出したら、都大路Sを5馬身差のレコード勝ち。超一流の才能があっての結果だよ。安田記念(11着)に関しては、過酷な不良馬場で1番枠を引いてしまったのが敗因。函館記念(10着)も不本意な走りだったが、脚元のことを考えて栗東の坂路で仕上げ、前週に輸送した影響もあった。G1でも通用するはずなのに、復帰後はイレ込みがち。ほんと歯がゆかったね」
 毎日王冠(5着)を使われて調子を上げ、マイルCSは3着に健闘。京都金杯(5着)、都大路S(2着)、鳴尾記念(5着)と善戦を重ねた。
 次のターゲットは七夕賞。荒れるハンデ戦であっても、ここでは格が違う。もう負けられない気持ちを込め、陣営も丁寧に態勢を整えた。折り合い面を考えれば、小回りの流れは好都合。すっと好位に取り付き、ペースが落ちた向正面では先行勢を射程圏に入れる。満を持して抜け出すと、余裕の手応えのまま、ゴールに飛び込んだ。
 宿願を託された川田将雅騎手も、満足げに笑みを浮かべた。
「これまで乗ったなかでは、一番、落ち着きがありましたからね。リズム良く運べ、実力をフルに発揮することができた。ようやく完成されてきた段階。まだまだ奥がありますよ」
 ところが、毎日王冠(11着)を走り終え、再び屈腱炎を発症。惜しまれつつターフを去った。ブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬入り。今春には待望の初産駒が誕生した。
 ディープブリランテやゴールドシップなど、豪華な同期との新たな争いに注目が集まる。名前(イタリア語で壮大な)どおりのスケールを受け継いだ逸材の登場を期待したい。
 


第51回 七夕賞(GⅢ)
1着グランデッツァ 牡6 57 川田将雅 平田修
2着ステラウインド 牡6 56 蛯名正義 尾関知人
3着マデイラ    牡6 52 大野拓弥 荒川義之

 単勝  450円
 枠連 4,070円
 馬連 3,820円
 馬単 4,540円

3連複  290,610円
3連単 1,006,440円




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