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『永久に芳香を放つ早咲きのライラック』


【2008年 函館2歳ステークス】

5月22日の遅生まれながら、ノーザンファーム空港での育成時より軽快な動きが評判だったフィフスペトル。2歳7月に函館(芝1200m)で競馬場に初登場すると、2番手から危なげなく抜け出した。
 続く函館2歳Sは後方の位置取りとなったが、激しい流れを追いかけずにじっと脚をため、若駒離れした瞬発力を見せ付けた。あっさりと交わし去り、後続に2馬身半も差を広げた。
 鞍上の三浦皇成騎手は、同年の3月に免許を手にしたばかり。早速、初となるタイトルを手にし、こう喜びを爆発させた。
「ずっと忘れられない勝利になるでしょうね。デビュー前から乗っていた馬。能力には自信を持っていたんです。ゲートは出たなりで。勝負どころでは自分でハミを取ってくれましたし、ロスなく直線に向けましたよ。終いの切れもイメージ通りです」
 父は偉大なキングカメハメハ。これが産駒の重賞初勝利だった。母ライラックレーン(その父バーリ、アメリカで不出走)の半姉にブラッシングケイディー(G1・ケンタッキーなど重賞4勝)、半妹にもアンビシャスキャット(カナダの芝牝馬チャンピオン、G2・ダンススマートリーS)がいる魅力の母系である。同期に先駆けて才能を開花させたとはいえ、奥深さも兼ね備えていた。
 京王杯2歳Sは展開に泣き、惜しくも2着。朝日杯FSも懸命に脚を伸ばしながら、アタマ差の2着に終わる。スプリングS(3着)より皐月賞(7着)に駒を進めたうえ、不利な外枠を引きながらもNHKマイルCは5着に食い下がった。過酷な不良馬場に泣いたものの、ダービー(11着)への参戦も果たしている。
 3歳秋はスワンS(8着)、マイルCS(8着)と足踏みしたが、ファイナルSで2着に浮上し、明るい未来を予感させた。東風Sで久々に勝利。ダービー卿CTも見せ場たっぷりの4着だった。ところが、左前の管骨を亀裂骨折していたことが判明。1年間のブランクを強いられる。
 復帰後は2戦を消化して調子を上げ、夏至Sを順当勝ち。ひと息入れ、京成杯AHに臨む。高速馬場に加え、息の入らないラップが刻まれたなか、中団の外でぴたりと折り合う。直線の追い比べでも勢いは衰えず、ぐいと2着馬を突き放した。3年ぶりに重賞の勲章をつかむ。
 スプリンターズS(6着)を経て、マイルCSではわずかクビ差の2着に健闘。さらに夢がふくらんだ。だが、以降は9連敗を重ねてしまう。そして、突然の悲劇が。7歳5月の調教中に左後肢に重度の骨折を発症してしまい、安楽死の措置が取られた。
 馬名は「5枚の花びら」との意味であり、「ハッピーライラック」と呼ばれる幸運のシンボルのこと。その名に反し、苦難に付きまとわれた競走生活だったかもしれないが、みごとに5つの勝利を積み重ねた。フィフスペトルの芳しい香りは、いまでもフレッシュなまま、夏の函館コースに漂っている。
 


第40回 函館2歳ステークス(GⅢ)
1着フィフスペトル  牡2 54 三浦皇成 加藤征弘
2着ナムラミーティア 牝2 54 四位洋文 田村康仁
3着アイアンデューク 牡2 54 横山典弘 伊藤伸一

 単勝  680円
 枠連  890円
 馬連 1,500円
 馬単 2,990円

3連複  4,500円
3連単  25,780円




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