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『灼熱の中京に蘇る聖剣の切れ味』


【2012年 中京記念】

早くから頭角を現したうえ、9歳まで息の長い競走生活を送ったフラガラッハ。デュランダル(馬名はフランスの叙事詩『ローランの歌』に登場する聖剣のこと)のファーストクロップにして、代表的な傑作である。父より連想され、ケルト神話に登場する剣の名が付けられた。
 母スキッフル(その父トニービン)は1戦未勝利だが、愛3歳および英3歳牝馬チャンピオンに輝いた曽祖母シュートアラインに連なる名牝系。イリュミナンス(4勝)、フェルメッツァ(現5勝)、エスティタート(現4勝)と、同馬の妹弟たちもコンスタントに活躍している。
 2歳12月のデビュー戦(阪神の芝1800m)は2着。京都のダート1800mで順当に初勝利を収め、京成杯も4着に健闘する。大きく出遅れながら、アーリントンCを5着。中山の自己条件(芝1600m)で、鮮やかな大外一気を決めた。
 だが、レース中、左前のつなぎに軽度の剥離骨折を発症し、半年間のブランク。それでも、10月の東京(芝1600m)、紅葉Sと連勝を飾る。阪急杯で3着に追い込んだものの、最大の課題はゲートだった。夏場のリフレッシュ後に道頓堀Sを楽勝しながら、オープンでの成績は激しく上下動する。終い勝負に徹した阪神Cを3着し、4歳シーズンを終える。
 夏場に向けて調子を上げ、米子Sを鮮やかに差し切り。ラストは32秒6の鋭さだった。みごとに持ち味を引き出したのが高倉稜騎手。やる気にあふれる若手とのコンビが定着する。
 中京記念も最後方の位置取りとなったが、同馬としてはスタートもスムーズ。馬場の荒れた部分を避け、虎視眈々と追い出しのタイミングを計った。ラストの脚は目を見張るものがあり、後続に1馬身半の差を付ける完勝だった。
 ジョッキーにとっても念願の初重賞。高倉騎手は、こうパートナーを称えた。
「前走時の調教から跨って、馬とのコンタクトはスムーズに取れていました。きょうも折り合いに専念。馬の力を信じ、直線に賭けたんです。一瞬、狭くなりましたが、怯む気配はなかった。すばらしい伸びでしたよ。いまの状態を維持できれば、今後も期待できます」
 展開に左右されるのは相変わらずであり、その後は6連敗。しかし、6歳時の中京記念でみごとに復活する。同馬らしく大外を強襲。着差は半馬身だったが、先行勢に有利なスローペースを跳ね除けただけに、強さが際立つ内容といえた。
 ジョッキーも、前年以上に感激の表情を浮かべる。
「大外枠を引いた時点で、ダッシュが付かなくてもやれそうに思いました。落ち着いた流れも予想どおり。前を射程圏に入れて運べましたね。ずっと乗せてもらいながら、なかなか結果を出せなかった。ここで勝てて、ほっとしましたよ」
 天皇賞・秋(9着)以降は長めの距離へもチャレンジし、金鯱賞(5着)とアメリカJCC(5着)で掲示板を確保。鳴尾記念は3着に前進した。中京記念(10着)の3連覇がかなわなかったとはいえ、懸命に追い上げたオールカマー(4着)や、意表をつく逃げの手で見せ場をつくった日経賞(5着)のパフォーマンスからも、衰えは感じられなかった。
 左前の繋靭帯に軽い炎症を発症する誤算を跳ね除け、アルゼンチン共和国杯(17着)で復帰したが、発走調教再審査の制裁。鳴尾記念(12着)まで、さらに3戦を積み重ねたところで現役を退くことに。乗馬となり、静かに余生を過ごしている。
 不発が多かったとはいえ、中京のマイルでは桁違いの瞬発力を発揮したフラガラッハ。サマーシリーズが到来すれば、その勇姿がくっきりと蘇ってくる。
 


第60回 中京記念(GⅢ)
1着フラガラッハ    牡5 57 高倉稜  松永幹夫
2着ショウリュウムーン 牝5 54 小牧太  佐々木晶三
3着トライアンフマーチ 牡6 58 池添謙一 角居勝彦

 単勝  700円
 枠連 1,330円
 馬連 4,950円
 馬単 8,790円

3連複  46,330円
3連単  238,040円




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