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『王国の系譜に花開いた優美な一輪』


【2011年 京都大賞典】

 JRAの重賞を96勝(うちG1を10勝)という輝かしい業績を残した橋口弘次郎調教師にとっても、ローズキングダムは出会った当初より、大きな夢を託していた逸材である。
「この一族はみな皮膚が薄くて上品。母の特徴を受け継いでいて、調教タイムはそう目立たなくても、デビュー前からしなやかさが抜けていたよ。ほれぼれするようなバランス。実際よりも大きく見せ、奥深さも伝わってきた」
 母のローズバド(その父サンデーサイレンス)は、01年のオークス、秋華賞、エリザベス女王杯とも2着した橋口ブランドの一流馬。父は2年連続してチャンピオンサイアーに輝き、ディープインパクトの登場後も勝ち鞍を伸ばし続けているキングカメハメハである。サンデーサラブレッドクラブの募集総額は8000万円の設定だった。
 新馬戦(10月の京都、芝1800m)では33秒9の上がりを駆使し、人気を二分したヴィクトワールピサを差し切った。東京スポーツ杯2歳Sでも好位から長く脚を使い、トーセンファントムの猛追を退ける。そして、朝日杯FSへ。無傷で2歳チャンピオンとなった。
「本来はリディル(デイリー杯2歳Sに優勝後、骨折により休養)に任せる舞台で、適距離のラジオNIKKEI杯2歳Sに進んだところだが、こんなチャンスは滅多にない。期するものがあったね。ずっと手がけてきた〝薔薇一族〟にとって、G1は34回目の挑戦で初勝利。先頭でゴールを駆け抜けた瞬間、ダービーという文字が頭に浮かんだ。そう甘くはないことは痛いほどわかっていたし、ダンスインザダークみたいな迫力に圧倒されるタイプでもない。それでも、ついに神様が待望の逸材を与えてくれたと思ったなぁ」
 3か月の充電を経て臨んだスプリングSは3着に終わったが、朝までの雨風で切れ味が削がれる馬場。春シーズンは馬体減に悩まされ、皐月賞もコンマ2秒差の4着に終わる。大目標のダービーではエイシンフラッシュの強襲に屈し、2着に惜敗した。
「2歳時の姿で送り出せたら、もうひと伸びできたはず。夏場にしっかりリフレッシュされ、ぐんと成長してくれたよ。神戸新聞杯へは、自信を持って臨めた」
 プラス22キロの体重は、中身の充実を物語るもの。スローの好位で脚をため、直線はインへ進路を切り替えて鋭く伸びる。クビ差を保ったまま、復権のゴールへと飛び込んだ。
 堂々の1番人気を背負って菊花賞だったが、位置取りの差で2着。それでも、33秒9の上がりを駆使し、改めて確かな才能を示した。不運な敗戦も力に変え、ジャパンCへ。1位に入線したブエナビスタの降着による戴冠だったとはいえ、大きな不利を受けながら懸命に盛り返した。
 喜びもつかの間、思わぬ試練を味わう。有馬記念が直前に迫った木曜の晩、せん痛を発症。回避することとなったのだ。
「程度はごく軽くても、症状が出た直後に決断したよ。ブエナビスタとの再戦を期待するファンのためにも、一点の曇りもない状態で送り出したかった。すぐに乗り出し、負けないつもりで日経新春杯(3着)に向かったが、勝負には流れがある。馬の気持ちが途切れてしまったね」
 日経賞(3着)、天皇賞・春(11着)、宝塚記念(4着)と連敗を重ねる。それでも、夏場のリフレッシュが功を奏し、ぐっと心身が充実。京都大賞典では単勝1・8倍の1番人気に推された。
 8頭立てのスローペース。3番手で折り合いに専念し、勝負どころから馬任せに進出する。あっさり抜け出し、後続を完封した。
「ここでは能力が違うと思っていたが、59キロを背負ったのにもかかわらず、あの切れ味。鬱憤を晴らせ、ほっとしたなぁ。ただし、精神状態は一気にピークを迎え、徐々に闘争心が薄れてしまって。馬の難しさを再認識させられたよ」
 天皇賞・秋(10着)以降、無念の11連敗を喫する。6歳時の新潟大賞典(11着)を走り終え、種牡馬入りが決まった。
 新たな戦いでもライバルは強力だが、日本を代表するファミリーの雄。ローズキングダムが築いた王国を継承するプリンスの出現を楽しみに待ちたい。
 


第46回 京都大賞典(GⅡ)
1着ローズキングダム  牡4 59 後藤浩輝 橋口弘次郎
2着ビートブラック   牡4 57 安藤勝己 中村均
3着オウケンブルースリ 牡6 58 浜中俊  音無秀孝

 単勝  180円
 馬連  690円
 馬単 1,050円

3連複  1,140円
3連単  4,360円




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