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菊花賞 キセキが勝利を収めた決め手は『度胸』


日曜日メインは京都競馬場で行われた牡馬クラシック最終戦、第78回菊花賞。
本来ならば秋晴れの快い日が多い時季であるはずが今年は雨天が目立ち、特に先週末は秋雨前線に大型台風が重なり日本列島は悪天候に見舞われました。

競馬開催において台風が直撃しそうな場合、交通機関や安全上の問題で早めにその日の競馬を延期するかどうかを決定し公表しますが、今回は幸い全ての競馬場で競馬が開催されました。とはいえ3競馬場どこも土砂降りの雨で馬場コンディションは重または不良。

もともと3000mの菊花賞ではスピードある馬よりもスタミナタイプが有利ですが、さらに今年はこの天候によって泥をかぶっても走る気が失せない=レースに対する集中力を欠かさない強い精神力が求められました。

ダービー1~3着馬が菊花賞不出走ということもあり混戦が予想され、1番人気キセキが単勝4.5倍、2番人気の皐月賞馬アルアインが4.9倍、3番人気ミッキースワロー5.2倍と上位3頭の人気は拮抗していましたね。多くのファンが本命馬をどれにするか悩むレースで、僕は近走のレースぶりから強いとずっと感じていたキセキを本命としました。


スタートでダッシュがつかず後方グループでのレース運び、しかし鞍上のデムーロ騎手は焦ることなく馬場の良いところを選んで折り合い・リズムを優先させる騎乗をしました。

「ちょうど目の前にミッキースワローがいたので、それをマークするように乗った」とレース後に語ったように、自分の乗るキセキの方が人気で他馬からマークされる立場ではあるものの、位置関係からミッキースワローを相手と睨んでついていったのでしょう。

マークする馬がスムーズなレース運びをしてくれると、すごく乗りやすいもの。周囲の状況をあまり気にしなくて済み、その馬だけを見ていればよいからです。

馬の能力、ジョッキーの腕、流れや馬場状態とそれぞれに勝因がありますが、あえて1つ挙げるのなら僕はデムーロ騎手の度胸ですね。キセキの末脚を信じて最後まで動かなかったこと。これが何より大きな勝因と思います。


あれだけの道悪だと、なかなか差してこれません。手応えが良いわりに伸びないなど、馬場が悪いと、ジワジワと体力を奪われて仕掛けどころで既にいっぱいいっぱいになりがちで、実際このレースでも3コーナーあたりから脱落する馬が数頭いました。

だから、ほとんどのジョッキーが、末脚に期待するのではなく前めのレースをするか、または早めに動きださなければ勝負にならないと考えていたはず。いくら道悪に実績がある血統とはいえ、あの展開で勝ち切るのは大変なことです。それだけ脚に自信があるのかもしれませんが、普通はまず届くとは考えられず、動かないのは難しい。
動かずにいたことで結果的に惨敗してしまうことも覚悟の上での騎乗。見事でした。


2着の10番人気クリンチャー。
鞍上の藤岡佑騎手ははじめ後方にいて徐々にポジションを上げていき、4コーナーを回るときには先頭へという、馬場を考慮した乗り方をしました。惜しくも2着に敗れましたがベストと言える内容ではないでしょうか。

同じく5着ダンビュライトに騎乗した武豊騎手も、前もって頭に描いていたとおりのレースができたひとりでしょう。普通あのような馬場で一気に追い込んでこれる馬はいないため、どれだけ早めであろうが、とにかく直線で先頭に立って逃げ込みを図る騎乗。

“ああ、武豊だなぁ”と感心させられる、今年の菊花賞でもひときわ目を引く乗り方でした。

彼はいつも、その日の馬場・メンバー構成・ペース・位置取りなど全てをひっくるめて、一番良いと思われるレース運びをします。傍目には楽々と乗っているように見えますが、脚質や性格がそれぞれ違う競走馬をあれほど思うとおりに動かしてゆけるのは高度な技術を持っているからこそ。こういう騎乗が見られたときに、あらためて競馬の面白さを感じます。





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