平日コンテンツ

天皇賞(秋)  馬に対して全く無理をさせない“神騎乗”


先週日曜日はGⅠレース、第156回天皇賞・秋が東京競馬場で行われました。

豪華なメンバーが揃ったこの伝統の一戦を心待ちにし、ようやく迎えた週末。
またまた雨、それも前週ほど激しくはないにせよ2週続けての台風襲来により大雨に見舞われ馬場は芝ダートともに不良、天皇賞史上最悪と言ってよいほどの状況でのレースは大波乱になるのではないかと思いましたが、結果は1番人気キタサンブラックが優勝。3度目の天皇賞制覇を果たしました。

しかし、レースではゲートのセンスがかなり良いこの馬がまさかの出遅れ。
前扉に突進して後ろへ下がったところでゲートが開くという最悪のタイミングのスタートとなり、これまで常に好位でレースを進めて勝利をあげてきた馬が、後方からの競馬になってしまいました。

ここで並のジョッキーならば、遅れを取り戻すためにポジションを取りに行こうと馬を押して前へ進めていくところ。しかしキタサンブラック鞍上の武豊騎手の動きは違いました。

状況を把握し、瞬時にやるべきことを判断。
まず最も重要なのは馬のリズムを崩さないこと、そのうえでゴール板を先頭で駆け抜けるためには、どう乗ればよいか。考えつつ後方で進めていた武騎手は、徐々に3コーナーから内側を通って上がっていき、4コーナーから直線に向いたときにはほぼ先頭に並びかけていました。

当日のような馬場では、少しでも走りやすい外を回すのが鉄則です。
かといって出遅れてしまった以上、後方から外へ進路を取って大外から差し切るのはさすがに不可能だと考え、距離ロスを避けてあえてインから前との差を詰めていきました。
常識的に考えて荒れたインを通ると馬は思った以上に馬場に体力を奪われ、直線で追うときには脚いろが一杯になってしまいますが、このレースの流れ・馬場でバテずに伸びてくるあたりは、さすがキタサンブラックというところでしょうか。他馬が苦しむ中、この馬にとっては恵みの雨になったのかもしれませんね。

直線では外へ持ち出して、馬場の良いところを選んで追い出し、脚が止まるどころか最後までしっかりと伸びてゴール。スパッと切れるような脚はなくても、絶対的なスピードがあって、かつパワーもスタミナも、さらには抜かせない勝負根性もあるキタサンブラックには驚かされましたが、その力を引き出せたのは武騎手の腕があってこそです。馬に対して全く無理をさせずに誘導してきた証しです。あんな騎乗は彼にしかできません。

神騎乗という言葉について、ちょっと上手くいっただけのことでもそう言われる軽さを感じて好きではありませんが、今回の武騎手はまさに神騎乗。天才と言われる武豊騎手の全てが凝縮されたような乗り方、久々にシビレるレースを見せてもらいました。


2着に2番人気サトノクラウン。
鞍上のM.デムーロ騎手は、サトノクラウンがこういう馬場を苦にしないことをわかっていて、じつに積極的なレース運びをしました。好位からポジションを上げていって4コーナーでは2番手グループに位置、そこから追い出すと先に抜け出していたキタサンブラックに迫る勢いで伸びてきました。惜しくもクビ差届きませんでしたが、デムーロ騎手の騎乗も素晴らしいものでした。




Copyright © 2006 WORLD, Inc All Rights Reserved.
このサイトに掲載の記事・写真・映像などの無断複製、転載を禁じます。すべての著作権はWorldに帰属します。

前のページへ戻る

PAGE TOP