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『道半ばで天に召された幻の帝王』


【2015年 日経賞】

 橋田満調教師が深い愛情を注ぐ繁殖の一頭にロイヤルカードがいる。競走成績は未勝利ながら、半弟にアドマイヤホープ(全日本2歳優駿)、アドマイヤフジ(日経新春杯など重賞3勝)、アドマイヤコスモス(福島記念)らがいて、その母アドマイヤラピス(ステイヤーズS2着)を手がけて以来、大切に育ててきたファミリーである。朝日杯FSを制したうえ、ダートで6つもG1の栄光を勝ち取ったアドマイヤドンが配され、誕生したのがアドマイヤデウスだった。
「アドマイヤダンク(5勝、地方3勝)、アドマイヤケルソ(3勝)、アドマイヤドバイ(4勝、きさらぎ賞3着、ラジオNIKKEI賞3着)と、ロイヤルカードの仔は牡に出ればコンスタントに走っています。デウスは当歳時よりしっかりした体付きをしていましたし、バランスが整っていましたよ。それに、兄たちと比べても身のこなしが柔らかい。父のイメージとは違い、母父サンデーサイレンスの血が色濃く伝わっています」
 と、トレーナーは特長を話してくれる。
 6月6日の遅生まれながら、ノーザンファーム早来での育成は順調そのものだった。2歳の5月末にはトレセン近くのNFしがらきへ。9月の入厩後もスムーズに出走態勢が整う。
「前向きな性格で仕上げやすい。気合いが乗りすぎるのを心配していましたが、競馬へいってもムキにならず、秘めたセンスも想像以上でしたね」
 京都の芝1800mでデビュー。中盤でペースが緩み、前残りの展開となるなか、大外を3着まで押し上げた。スタートで躓く不利を跳ね除け、続く芝2000mはアタマ差の2着に追い込む。暮れの阪神(芝2000m)を順当に初勝利。梅花賞は3着に敗れたが、放牧を挟んで体に余裕があった。肉体面の強化とともに、自在性を高め、あすなろ賞をあっさり抜け出した。そして、若葉Sも鮮やかに差し切る。ラスト3ハロン(34秒9)は、レースの上がりを1秒0も上回る圧倒的なものだった。
「早い時期から完成度も高かったのですが、一戦ごと着実な進歩がうかがえるのが心強かった。伸びやかなフットワークに加え、折り合いも付き、もっと長めの距離向き。将来を楽しみにしていましたよ」
 皐月賞(9着)、ダービー(7着)と歩んだところで軽い骨折を発症。しかし、7か月ぶりとなった日経新春杯では目を見張る伸び脚(3ハロン33秒8)を駆使し、あっさり重賞制覇を果たした。
 前走がフロックでなかったことを証明したのが日経賞。スローな流れをコーナーから動き、直線で楽々と抜け出す。コンマ3秒差の完勝だった。
 岩田康誠騎手も、充実ぶりに目を細める。
「どんなパターンでも競馬ができる。主張する馬を行かせ、ゆっくり構えました。歴戦の強豪が相手なのに、今回も最後まで余力があり、底知れない可能性を感じさせます」
 ただし、天皇賞・春(15着)で再び骨折。秋の王道路線には間に合ったものの、持ち味を発揮できずに終わった。京都記念(3着)や阪神大賞典(3着)で復調を示したが、天皇賞・春は9着。以降も京都大賞典(クビ差の2着)、日経賞(3着)などで見せ場をつくりながら、未勝利のままだった。
 6歳秋にオーストラリアへ移籍。ところが、調教中の事故に見舞われる。天帝、天主を意味する名の通り、最高の地位が視野に入っていても、願いをかなえることなく、天国に旅立ってしまった。それでも、桜のつぼみがふくらむ時季を迎えれば、青春期の勇姿が多くのファンの脳裏に蘇えってくる。
 


第63回 日経賞GⅡ
1着アドマイヤデウス  牡4 56 岩田康誠 橋田満
2着ウインバリアシオン 牡7 57 福永祐一 松永昌博
3着ホッコーブレーヴ  牡7 56 田辺裕信 松永康利

 単勝  540円
 枠連  960円
 馬連 2,190円
 馬単 3,940円

3連複  8,900円
3連単  37,310円




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