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『花の女神に祝福された天才少女』


【2007年 フローラステークス】

 カレンブラックヒル(NHKマイルC)、ゴールドドリーム(チャンピオンズC、フェブラリーS)をはじめ、7頭の重賞ウイナーを送り出している平田修調教師だが、開業翌年に初のタイトルをもたらしたベッラレイアに対する思い入れは限りなく深い。
「巡り会いに感謝するしかないですよ。技術調教師だったころ、ノーザンファームで研修させてもらったときに初めて対面。あの仔は1歳だった。もう大人っぽくて、470キロくらいの馬格を誇っていましたね。バランスがいいなぁって見惚れました。それにすごく賢くて、かわいいんです。すぐに愛着を覚えましたよ」
 母はG1・デルマーオークスを2着したマリスターⅡ(その父ボールドスキ)。同馬の姉兄にあたるピンクパピヨン(2勝)やマルロス(2勝、新潟2歳Sを3着)は、サンデーサイレンス産駒らしく、気性が激しかった。期待ほど伸びなかったことから、思い切って配合を変えて誕生。父はナリタトップロードである。ノーザンファーム産としては異色の一頭といえた。
「牝馬らしくなく、のんびりとマイペース。そんな性格ですので、育成時代はそう目立つ方ではなかったですね。骨瘤が出てしまい、当初の予定よりもデビューが遅れましたが、手がかからないタイプですし、調整もしやすい。ただ、飼い葉をしっかり食べるのに、無駄肉が付かない体質なんです。新馬を使ったころが理想の姿でした」
 実質2本の追い切りで3歳1月の京都、芝1600mを快勝する。だが、クイーンCに続き、アーリントンCも除外され、すみれSに向ったのだが、追い込み届かずに3着。賞金加算は果たせなかった。桜花賞への最終便、フラワーCも除外され、のあざみ賞に回ると、最後方から一気の差し切りを演じ、オークスへの道がつながった。
 フローラSは単勝1・8倍に推されて登場。スローペースに流れるなか、馬群で折り合いに専念する。ところが、直線に入っても前にスペースは開けない。絶体絶命のピンチに映ったが、秋山真一郎騎手は慌てなかった。大外に進路を切り替え、一気の進撃を開始する。きっちりと捕らえたところがゴールだった。いったんリードを広げたミンティエアー、イクスキューズを目がけて放たれた脚は、まるで矢のような鋭さだった。
 レベルの高い世代にあって、ウオッカ(ダービー、ジャパンCなどG1を6勝)やダイワスカーレット(桜花賞、有馬記念などG1を5勝)とともに「3強」と評されるようになり、両馬が不在となったオークスでは2・6倍の1番人気。しかし、早めに抜け出すかたちとなり、最後の最後でローブデコルテにハナ差だけ先着を許した。
 才能だけで駆け抜けた春シーズン。オークス時には、444キロ(デビュー戦よりマイナス16キロ)まで体重が減少していた。休養でつくり直し、ローズS(2着、3F33秒2)、秋華賞(4着、32秒9)とメンバー中で最速の上がりで追い込んだものの、依然として繊細な部分が目立ち、守りの調教に終始せざるを得なかった。
 4歳になっても、スクミの症状に悩まされたうえ、精神的な苦しさから行きたがったり、もたれて走る傾向が顕著となっていく。ハミを変えるなどの工夫も実らず、不完全燃焼のレースを繰り返す。エリザベス女王杯(3着)でもG1制覇の夢はかなわなかった。5歳秋の府中牝馬S(2着)まで歩んだところで、鼻出血を発症。繁殖入りすることとなる。
 結局、2007年フローラSが唯一の勲章となったが、そのパフォーマンスはあまりに衝撃的であり、その余韻はいまだに鮮烈。トレーナーの胸のなかで、いまでも同馬は走り続けている。
「あの感激だけでなく、オークスでの悔しさだって貴重な財産。開業して間もない時期に、ベッラレイアがいてくれたからこそ、多くのことを学ぶことができたんです。もっと大きな栄光をつかみたいとの意欲を与えてくれた永遠の恩馬ですよ」
 いまのところ、初仔のベッラレジーナが1勝をマークしたのみと物足りない繁殖成績でも、いずれ大物が登場しても不思議はない。現3歳のカラレイア、1歳になったオルフェーブルの牡へも、きっと天才的なポテンシャルが伝わっているはずだ。
 


第42回 フローラステークスGⅡ
1着ベッラレイア  牝3 54 秋山真一郎 平田修
2着ミンティエアー 牝3 54 蛯名正義  勢司和浩
3着イクスキューズ 牝3 54 北村宏司  藤沢和雄

 単勝  180円
 枠連  690円
 馬連  870円
 馬単 1,210円

3連複  1,640円
3連単  5,470円




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