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『底知れないポテンシャルを秘めた黄金世代の銀メダリスト』


【2011年 青葉賞】

 有馬記念やドバイシーマクラシックを制した底力を産駒に伝えるハーツクライ。そのファーストクロップにして最初に重賞の勲章を手にしたのがウインバリアシオンだった。
 母スーパーバレリーナ(その父ストームバード)は高額で輸入され、2歳夏のデビュー戦(函館の芝1000m)で2着したものの、故障に泣いて未勝利に終わっている。繁殖成績もひと息。JRAで勝ち上がったのは、シングルプレイヤー(2勝)とレインホーマリーン(1勝)のみである。ただし、米2歳牝馬チャンピオンのカウンテスダイアナや2年連続で米年度代表馬となったカーリンを輩出した底力に富むファミリーであり、一発長打があって不思議はない。ウインレーシングクラブでの募集総額は1800万円だった。
「ノーザンファーム空港での育成も順調そのもの。もともと整ったスタイルをしていたが、1か月くらいの間隔で見学に行くたび、だんだん良さが際立ってくる。会いに行くのが楽しみでね。父のイメージを受け継いでいて、とても柔軟で伸びやかだから、長いところ向きだと見込んでいた。2歳6月に入厩した当初でも、若駒離れした豊富な体力の持ち主だったよ。心肺機能の高さが桁違い。追い切った後はすぐに息が戻ってしまう。飼い食いが落ちたことも皆無だった」
 と、松永昌博調教師は、若駒時代を振り返る。
 小倉の新馬(8月1日、芝1800m)ではいきなり華々しいパフォーマンスを披露。スローからの決め手比べとなったなか、3馬身の差を付けた。
「想像以上の走りだったよ。練習ではダッシュが速くなかったのに、すっと好位へ行けたうえ、終始、外を回りながら、余力たっぷりに抜け出してしまった。500キロ以上の大型で、おっとりした性格。緩さだって残していた段階だったし、とても初戦向きとは思えなかったのにね。きついレースを走り終えても、疲れた様子など見せないのにも驚かされた」
 続くの野路菊Sも他を圧倒。スタートをゆっりく出たが、あせらずに後方で折り合う。繰り出した上がりは33秒9だった。ラジオNIKKEI杯2歳S(4着)では初の敗戦を喫したものの、差はコンマ1秒。直線では後方の馬に乗りかけられるシーンがあり、「あれがなければ」とトレーナーを悔しがらせた。
「走り終えた直後、右前の蹄の上部に細かな亀裂が入っているのを発見。蹄が薄いので、内部から割れかけていて。稽古で痛みを訴えることはなかったけど、きさらぎ賞(4着)、弥生賞(接触する不利があって7着)と戦うと、左前にも症状が表れ、自らやめてしまう傾向もうかがえたよ」
 走れない原因も特定され、ノーザンファームしがらきで爪が伸びるのを待つこととなったのだが、それから目標とする青葉賞までは2カ月弱しかない。万全とはいえないなかでも、直前はぎりぎりまで攻めた。
「ピークに持っていくのは次のダービー。マイナス6キロの馬体減は想定外だった。ただ、雰囲気はすごく良くなっていたよ。これまでより歩くリズムがしゃきっとしていたもの」
 折り合いに専念した結果、最後方の位置取り。しかも、流れは遅く、4ハロン目から13秒台が3回も連続した。それでも、繰り出した末脚は33秒6。レースの上がりをコンマ8秒も凌ぐ鋭さだった。豪快な差し切りを決める。
 綱渡りの調整はダービーへも続いたが、過酷な不良馬場を跳ね除け、オルフェーヴルにコンマ3秒差の2着。上がり最速(3ハロン34秒7)を駆使。3着を1秒1も置き去りにした。
「まだ緩さが目立った段階だったのに、あれだけ健闘。底知れないポテンシャルを再認識したね。本来はパンパンの良で決め手を生かすタイプでも、爪に弱点を抱えていただけに、当日の雨にも助けられた」
 神戸新聞杯、菊花賞とも3冠馬の2着。スローを見越して早めに動いたジャパンCは5着に敗れたとはいっても、強力な古馬に堂々と立ち向かい、将来の飛躍を予感させている。
 4コーナーで荒れた馬場に脚を取られた京都記念(6着)。日経賞(2着)はネコパンチの大逃げに屈する。天皇賞・春(3着)でもメンバー中で最速の上がり(3ハロン33秒5)を駆使しながら、ビートブラックに押し切られてしまう。オルフェーヴルが復権を果たす宝塚記念を4着。だが、秋シーズンを前に左前脚に浅屈腱炎を発症してしまい、1年5か月間もレースから遠ざかった。
「プラス50キロの体重で帰厩。ずいぶん背が伸び、金鯱賞(3着)でも数字ほど(プラス30キロ)の太め感はなかった。有馬記念(2着)へは、ワンランク上の仕上げができたが、やはりオルフェーヴルは強かったよ。でも、あの馬のラストランに間に合ってよかった。伸び盛りのタイミングに休んだことが、8馬身の差。それを縮め、追い付ける手応えはあったんだけど」
 充実の6歳シーズンを迎え、日経賞に快勝。天皇賞・春はわずかクビ差の2着だった。ところが、宝塚記念を7着に敗れる。脚元の炎症が再発。金鯱賞(15着)、有馬記念(12着)と苦戦を重ねた。翌春の日経賞(2着)で反撃しながら、天皇賞・春(12着)は入線後に下馬。屈腱を不全断裂し、競走能力喪失の診断を受ける。
 悲しいラストランだったとはいえ、無事に種牡馬入り。夢は明け1歳になった産駒たちに託される。ぜひ未来の晴れ舞台に臨み、華麗なバリアシオン(バレエのソリストによる舞踏)をと願わずにいられない。
 


第18回 テレビ東京杯青葉賞GⅡ
1着ウインバリアシオン 牡3 56 安藤勝己   松永昌博
2着ショウナンパルフェ 牡3 56 蛯名正義   二ノ宮敬宇
3着トーセンレーヴ   牡3 56 Cウィリアム 池江泰寿

 単勝  1,450円
 枠連  2,620円
 馬連  8,430円
 馬単 19,570円

3連複  6,720円
3連単  74,960円




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