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『ワールドクラスの栄光を追って』


【2012年 鳴尾記念】

数々の名馬を手掛けている池江泰寿調教師だが、トゥザグローリーのすばらしさについて、こう表現する。
「こんな個性とは滅多に出会えない。がっちりした大型なのに、顔付きに品があり、決して無骨ではありません。全体のバランスが整っていて、軽さも兼ね備えているんです」
 2年連続してチャンピオンサイアーに輝き、ディープインパクトの登場後も順調に勝ち鞍を伸ばすキングカメハメハが父。配されたのは世界に誇れる名牝、トゥザヴィクトリーである。トモのボリュームも母譲りだ。キャロットクラブでの募集総額も、1億2000万円と破格の設定だった。同馬の全弟に弥生賞を制し、皐月賞、有馬記念、ザBMWとG1の2着が3走あるトゥザワールド。中山牝馬Sに勝ったトーセンビクトリーは全妹にあたる。
「サンデーサイレンス産駒らしくなく、母は肩が立ち気味。だから、首を高く上げた硬めの走法でしたね。それなのに、グローリーは理想的な角度で前肢が付いていて、フォームが伸びる。だから、爆発的な末脚を使えるんです」
 エリザベス女王杯でG1勝ちを成し遂げた母。それ以上に輝くのは、ドバイワールドC史上、牝馬としては最高着順となる2着(01年)でのゴールである。当時、調教助手を務めていた師も同行し、いまにつながる貴重な財産となっている。
「02年も挑んで11着に終わりましたが、輸送のトラブルが響いて体調が本物でなかった。前年の健闘は決してフロックではありません。いずれリベンジを果たしたいと心に誓いましたよ」
 同馬には、父子2代に渡るトレーナーの夢も託されている。母と同様、池江泰郎厩舎よりデビューした。10月初旬のゲート試験をパス。暮れにはデビュー間際まで進んだものの、筋肉痛を発症したため、山元トレセンで態勢を整え直す。
 帰厩後1か月に満たない調整過程でありながら、3月の阪神(芝1600m)で豪快な差し切りを演じた。続く阪神(芝2200m)も容易に連勝し、青葉賞を2着。通常では間に合うはずのないダービー(7着)へも駒を進めた。
 ラジオNIKKEI賞(5着)は出遅れたうえ、小回りの忙しい流れに戸惑って折り合いを欠いたもの。夏場のリフレッシュ明けだったこともあり、アイルライドトロフィー(2着)でもしきりに行きたがっていたが、カシオペアSを順当に勝利する。マイルチャンピオンシップは7着に終わったとはいえ、大外を追い上げ、コンマ5秒差でゴール。中日新聞杯ではついに初のタイトルを手中に収めた。有馬記念も3着に健闘する。
 泰郎師の定年が迫り、ともに戦う最後の一戦となったのが京都記念。渾身の仕上げが施され、ますます迫力を増していた。外目をぐんぐん伸び、楽々と突き抜ける。すっかり本格化した段階で、泰寿師のもとに移籍。緒戦の日経賞も連勝を飾った。
「天皇賞・春(13着)は特殊な流れに翻弄された結果ですし、宝塚記念(13着)も夏負けが敗因。暑さが苦手なだけに、天皇賞・秋(5着)当時も復調途上でした。ジャパンC(11着)では前に壁をつくれなかったのが響きましたが、使い込んでいいタイプ。気温の低下とともに状態が上がってきました」
 有馬記念で3着に反撃。疲れなどうかがえず、ますます快調だった。日経新春杯では3つ目となるG2制覇を成し遂げる。ところが、中山記念(10着)では期待を大きく裏切り、ドバイシーマクラシックへの挑戦は白紙に。状態本位に立て直しを図り、陣営は鳴尾記念での汚名返上に燃えた。そして、馬もきっちり期待に応え、復活の勝利を収める。
「精神的に余裕を持たせたメニューを工夫した成果があり、追い切りでも力まなくなりました。前へ行きたい馬が見当たらず、スローペースは必至。イメージ通り、すっと2番手に付けられ、これならば早めのスパードでもつかまらないだろうと。確かな能力を示してくれ、忘れられない一戦となりましたね」
 ただし、これがラストの栄光となる。以降は本来の闘志を取り戻せず、低迷を続けた。7歳暮れの金鯱賞(16着)を走り終えたところで種牡馬入りが決まった。ファーストクロップは現2歳。いよいよ注目のデビューを迎える。
「結局、G1に勝てませんでしたが、ワールドクラスの活躍を意識した素材です。ボリューム満点の馬体は、ティズナウ(00年、01年BCクラシック)やカーリン(07年BCクラシック、08年ドバイワールドC)に匹敵するでしょう。超一流のポテンシャルを受け継いだ2世の登場を期待したいですよ」
 


第65回 鳴尾記念GⅢ
1着トゥザグローリー  牡5 57 福永祐一 池江泰寿
2着ショウナンマイティ 牡4 57 浜中俊  梅田智之
3着トーセンラー    牡4 56 岩田康誠 藤原英昭

 単勝  380円
 枠連  520円
 馬連  590円
 馬単 1,180円

3連複  1,650円
3連単  6,900円




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