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『世代を超えて開花する夢のつぼみ』


【2003年 マーメイドステークス】

 橋口弘次郎厩舎ゆかりの血といえば、なんといってもフランス生まれのローザネイ(その父リファール)に連なるファミリー。真っ先に花を咲かせたのがロゼカラー(その父シャーリーハイツ、デイリー杯3歳S、秋華賞3着)だった。ローズバド(その父サンデーサイレンス)は、母があと一歩で届かなかったクラシック制覇の夢を託されて誕生した初仔。期待どおりの高いポテンシャルを示すとともに、繁殖入り後も豪華に枝葉を広げる「薔薇一族」の本流となり、その産駒のローズキングダム(朝日FS、ジャパンC)が、ついに悲願だったG1制覇を成し遂げることとなる。
 数々の栄光を手にしてきた橋口元調教師も、こう感慨深げに思い出を話す。
「ローズバドへの思い入れは、やはり特別なものがあるね。この一族はみな皮膚が薄くて上品。それにサンデーの良さが生き、若駒当時よりとても俊敏なうえ、身のこなしが柔軟だった。ロゼカラー以上の鋭い決め手を見込んでいたよ」
 3歳(当時)9月に栗東へ。追い切りでも上々の反応が見られたものの、精神面は繊細だった。出遅れが響き、11月の新馬(京都の芝1600m)を5着。3着、2着と続けた後、12月の阪神、芝1600mで順当に差し切り勝ちを収める。春の大舞台を意識して間隔を開け、2月の阪神(芝1200m)に臨んだのだが、忙しい流れに脚がたまらず、10着に敗退。1番人気を裏切ってしまった。
 フィリーズレビューは単勝15・5倍の6番人気に甘んじたが、調教の動きは相変わらず軽快。折り合いひとつで逆転できると、陣営は見ていた。最後方でマイペース。1000m通過が57秒2の超ハイペースとなり、直線は大外から一気に突き抜ける。逆転劇が始まる。
 ところが、桜花賞は熱発により回避することに。思えば、ロゼカラーも同様のアクシデントに見舞われ、1冠目には進めなかった過去がある。フローラSからは横山典弘騎手が騎乗。直線だけで3着に押し上げると、続くオークスをクビ差の2着に健闘した。
 秋緒戦のローズSも、懸命に脚を伸ばしながら2着。秋華賞でも2着に惜敗する。古馬と初対戦となったエリザベス女王杯では、わずかハナ差の2着。トップレベルの能力を証明しながら、不運に泣いた3歳シーズンだった。
「あのちいさな体でがんばる姿が、いまでも目に焼き付いているよ。悔しいどころか感動したなぁ」
 と、名将は穏やかな笑みを浮かべる。
 全力を尽くした反動で、以降は自慢の末脚が不発に終わるケースが多かったとはいえ、5歳時のマーメイドSで鬱憤を晴らす。軽さや切れが削がれる生憎の重馬場となったが、荒れたインの後方をリズム良く追走。3コーナーから持ったままでポジションを上げ、直線で楽々と抜け出した。後続を3馬身半も突き放した。
「精神的にどっしりしたことで、走りにくい条件でも集中してくれたのが勝因。府中牝馬S(2着)、エリザベス女王杯(5着)でもラストの伸びはすばらしかった。6歳春まで無事に現役生活を送れただけで、安堵したね。毎年、どんな仔が生まれるのか楽しみで。ローズキングダムをはじめ、次々に新たな夢を運んでくれた。ほんと偉大な繁殖だよ」
 薔薇にまつわるドラマの序章にあって、最大の見せ場がローズバドの才能開花。未来に向けても、物語は壮大に展開していく。
 


第8回 マーメイドステークスGⅢ
1着ローズバド     牝5 56 横山典弘 橋口弘次郎
2着テイエムオーシャン 牝5 59 本田優  西浦勝一
3着ショコット     牝6 55 江田照男 大江原哲

 単勝  740円
 枠連 1,130円
 馬連 1,120円
 馬単 2,920円
3連複 4,880円




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