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『年を経て味わい深いスプリント界の高級品』


【2012年 函館スプリントステークス】

10歳12月の兵庫ゴールドT(6着)まで55戦(12勝)を消化し、4割以上の連対率を誇ったドリームバレンチノ。ドバイワールドCの覇者であるロージズインメイの産駒だが、同馬の魅力は、新馬勝ちした翌週、小倉2歳Sを制するという離れ業を演じた母コスモヴァレンチ(その父マイネルラヴ)譲りのスピードだった。
 ドリームバレンチノの全弟にあたるウインムート(現7勝)も手がける加用正調教師にとって、コスモヴァレンチとの出会いはかけがいのないもの。当初はコスモバルクに続いてホッカイドウ競馬でデビューさせ、JRAの大舞台を目指す予定だった母だったが、2歳時にビッグレッドファーム明和で目にした師が惚れ込み、預託を打診した過去がある。
「ヴァレンチは骨折に泣き、3戦のみで引退。底知れないポテンシャルの持ち主だった。手元にいる時間は短かったけど、思い入れが深い繁殖。待望の初仔に賭ける気持ちは強かったね。当歳時よりヴァレンチによく似た好馬体をしていたし、ウインムートや全妹(函館2歳Sを2着したマイネショコラーデ)を見ても、父との配合が合うんだろう」
 2歳10月の京都で迎えたデビュー戦(芝1200mを7着)はスタートで後手を踏んだドリームバレンチノだったが、2戦目の京都(芝1400m)をあっさり逃げ切り勝ち。ただし、3歳時は体質の弱さも目立ち、昇級後は5連敗を喫する。
「コスモヴューファームの育成時はゲートで暴れたりする幼さが目立った。もともと早熟とは思っていなかったよ。能力に体が付いてこない状況。だから、リフレッシュを挟みながら大切に使ってきたんだ」
 右肩の跛行による出走取り消しを経て、別府特別で2勝目をつかむ。このころになると状態はすっかり安定。脚質の幅も広がる。雲仙特別では1000万下を卒業。薩摩Sでの準オープン勝ちまで、階段を登るように前進した。
「デビュー時に460キロだった体重が490キロに。キャリアを積みながら、たくましさを増しているのがうれしかった」
 京王杯スプリングC(7着)では勝ち馬に次ぐ上がり(33秒2)をマークした。桂川Sは4着だったとはいえ、コンマ1秒差。みちのくSをあっさり抜け出す。出遅れなければと悔まれる惜敗だったラピスラズリS(4着)、コース取りが響いて届かなかったアンコールS(2着)、前が止らない流れの淀短距離S(3着)と、いずれも敗因ははっきりしていた。福島民友Cを鋭く差し切り、安土城Sも完勝。いよいよ重賞制覇が視界に入ってきた。
「しばらくは運に恵まれず、リズムに乗れなかっただけ。ますます充実していたし、パワーも兼備した個性。暑さは避けたかったし、洋芝が合うと見て、函館スプリントSに照準を定めたんだ」
 出遅れる不利がありながら、外を回って中団に取り付き、余裕の手応えで直線へ。ラスト1ハロンで先頭に躍り出ると、断然人気に推されたロードカナロア(後にG1を6勝)の強襲を粘り強く退けた。
 母のイメージに反し、奥が深いドリームバレンチノ。スプリント界の高級ブランドとして、ますます評価を高めていく。5歳秋はスプリンターズSを3着。シルクロードSで2つ目のタイトルを奪取し、高松宮記念も2着に食い下がった。
「もともとダートも走れると見ていたが、いきなりJBCスプリントを2着。ぐんと守備範囲が広がった。この路線なら、高齢になっても活躍が可能。それにしても、若々しい闘志が衰えず、常に一所懸命だった。ほんと頭が下がるよ」
 兵庫ゴールドTに順当勝ち。7歳時も黒船賞、東京盃と連続して2着を確保したうえ、ついにJBCスプリントではG1の勲章を手にした。9歳になっても、東京盃で2馬身差の完勝。味わい深い競走生活だった。
 アロースタッドで種牡馬となり、今春より供用を開始。2世たちも、コンスタントに活躍するに違いない。
 


第19回 函館スプリントステークスGⅢ
1着ドリームバレンチノ 牡5 56 松山弘平 加用正
2着ロードカナロア   牡4 56 福永祐一 安田隆行
3着ビスカヤ      牝6 54 荻野琢真 木原一良

 単勝  670円
 枠連  310円
 馬連  330円
 馬単 1,330円

3連複  13,180円
3連単  72,540円




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