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『たくさんのゴールドが詰め込まれた白銀の船』


【2014年 宝塚記念】

「当歳時に出会って以来、いい印象しか残っていない。他馬とじゃれる姿が愛らしくても、しっかりした馬格をしていてね。母も500キロを超える巨漢。ただ、体が硬く、どちらかといえばダート向きだった。ところが、サンデーサイレンス系らしい柔軟性を兼ね備えていて。フットワークはあまり似ていないよ。両親の長所だけを受け継いだ感じなんだ」
 と、須貝尚介調教師が振り返るのは、最高傑作となったゴールドシップについて。
 母ポイントフラッグも馴染みの繁殖であり、唯一の勝ち鞍(京都の新馬、芝1600m)をジョッキー時代に挙げている。オークスやエリザベス女王杯でもコンビを組んだ。
 配された父はステイゴールド。抜群の相性を誇る母父メジロマックイーンとの組み合わせである。代表的な成功例であるドリームジャーニーやオルフェーヴルとは、ノーザンダンサーの5×4というクロスまで共通している。
 吉澤ステーブルで順調に乗り込まれ、5月末に栗東へ。1か月弱、坂路でタイムをマークした後、函館競馬場に移動した。
「長い距離へ対応できるスタミナや、タフな洋芝をこなせるパワーは見立て通り。でも、デビュー戦(7月9日の芝1800mをレコードタイムで差し切り)から勝ち負けになるなんて、想像していなかったなぁ。明らかに太く、筋肉が付ききっていなかったもの。あの強さを目の当たりにして、とてつもない馬かもしれないと思い始めたね」
 2戦目はコスモス賞を選択。初戦同様、スタートで後手を踏んだものの、危なげなく抜け出した。このころになると体力強化は目覚ましく、調教の反応に鋭さを増してきた。
「遊び遊び走っていて、ゴール前ではソラを使ったほど。札幌2歳S(半馬身差の2着)に関しても、能力は十分に示しているよ。まだトモが緩かったから、致命的な出遅れ。でも、前に馬がいれば懸命に追いかける。精神面の頼りなさも薄れつつあった」
 将来を見据えてローテーションが組まれ、一戦ごとに心身の強化が図られていく。ラジオNIKKEI杯2歳Sも粗削りな面に泣かされたとはいえ、豪快にまくって2着を確保。好位追走がかなった共同通信杯で、やる気にあふれる陣営に初となる重賞の勲章をもたらす。
 そして、皐月賞を快勝。後方の苦しい位置取りとなったが、3コーナーから荒れたインを進出し、後続に2馬身半差の差を付けた。ダービーは5着に敗れたとはいえ、メンバー中で最速タイとなる33秒8の上がりを駆使している。秋緒戦の神戸新聞杯を2馬身半差の完勝。単勝1・4倍の圧倒的な人気に応え、危なげないパフォーマンスで菊花賞馬に輝く。
 有馬記念はスタートが決まらず、最後尾のポジション。それでも、6つのコーナーのうち、4つをロスなくインで回り、3角手前から馬群の外へ持ち出してスパート。豪快に突き抜ける。4歳緒戦の阪神大賞典を順当に勝ち切り、天皇賞・春(5着)へ。強靭な肉体を誇る一方、頑固に自己主張しがちな精神面に邪魔され、不完全燃焼に終わった。
 なんとしても巻き返したかった宝塚記念。スタートから押して好位に取り付く。息の入らない流れを自ら動き、堂々と先頭に立つと、持ち前のスタミナを存分に生かし、後続との差を3馬身半も広げた。
「2週間前から内田くん(博幸騎手)が栗東に来てくれて、スタッフも一丸となって仕上げたよ。レース前、ジョッキーには『思い切って競馬をしたらいい』と伝えただけ。敏感なところがあるので、声をかけて馬場に送り出したら、あとは任せるしかない。うまく走る気持ちを引き出してくれたね。前目でもレースができると確信していたし、強い馬が、すべきかたちで戦ってくれた」
 京都大賞典(5着)、ジャパンC(15着)、有馬記念(3着)と、秋シーズンは乗り難しさに泣いたが、翌春になって前年と同じ2つのタイトルを積み重ねる。宝塚記念の連覇がかない、トレーナーも久々に笑顔を浮かべた。
「とにかく、この馬の力を発揮させることだけに集中した。調教過程から、僕が考えていることと、ノリちゃん(横山典弘騎手)の意見が食い違うなど、まったくなかったよ。ゲートでちゃんと駐立したとき、これなら大丈夫だと。阪神の馬場は最適だし、レース中もゴールドシップとジョッキーが会話を交わしているのが伝わってきたね。『人馬一体』という言葉を改めて思い起こされる勝利だった」
 札幌記念(2着)をステップに、凱旋門賞(14着)へもチャレンジする。ラストシーズンは阪神大賞典に続き、鬼門だった天皇賞・春に優勝。有馬記念(8着)を走り終え、惜しまれつつターフを去った。
 ビッグレッドファームでスタッドイン。人気は上々である。きっと破格のパワーを受け継いだ産駒が登場することだろう。
 


第55回 宝塚記念GⅠ
1着ゴールドシップ   牡5 58 横山典弘 須貝尚介
2着カレンミロティック せ6 58 池添謙一 平田修
3着ヴィルシーナ    牝5 56 福永祐一 友道康夫

 単勝   270円
 枠連   660円
 馬連  8,990円
 馬単 10,210円

3連複  57,870円
3連単  251,440円




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