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『灼熱の直線を切り裂く圧倒的なダッシュ力』


【2013年 アイビスサマーダッシュ】

 スピードタイプの良績が突出している西園正都厩舎。これまでJRA重賞を計29勝しているが、阪神JF(タムロチェリー)マイルCS(エーシンフォワード、サダムパテック)、ジュールポレール(ヴィクトリアマイル)をはじめ、25勝はマイル以下で挙げたものである。そんななかにあっても、2013年にサマースプリントシリーズのチャンピオンに輝いたハクサンムーンは、驚異的なダッシュ力を誇る個性派だった。西園調教師も、早くから非凡な能力に惚れ込んでいたという。
「浦河のBTCで乗り込まれているころより、とにかく動いた。常に前向きで、仕上がりも早い。デビュー前の最終追い切りが坂路で51秒5、終いは11秒9。ものが違うと思わせたよ。それでいてフットワークに柔らか味もあり、奥の深さも感じていた」
 セレクトセール(当歳)にて5000万円で落札。ドバイデューティーフリーやジャパンCを制したアドマイヤムーンのファーストクロップだが、他のタイトルホルダーに高松宮記念を制したセイウンコウセイ、ファインニードルがいるように、エンドスウィープの後継らしく短距離色が濃い。母チリエージェ(その父サクラバクシンオー)は短距離で5勝している。
 2歳12月、阪神の新馬(芝1400m)に臨むと、2馬身ほど出遅れながら一気に挽回。鮮やかに押し切る。朝日杯FS(16着)でも先頭で直線に向いた。年明けの中山、芝1200mを悠々と逃げ切る。
「3歳前半の3戦はいかにも若いレース運びで連敗したけど、大きなダメージを受けず、脚元もきれいなまま。問題は気性面だった。常に人恋しくて、落ち着きがないんだ。そんななかでも、使われながら成長。着実にパワーアップしてきた」
 出石特別(5馬身差の圧勝)以降、ほとんどハナを譲らずに前進していく。アイビスサマーダッシュ(4着)、北九州短距離S(4着)と健闘し、道頓堀Sでは順当に4勝目をつかんだ。京洛S(15着)は、執拗に競られたのがすべて。京阪杯では晴れて重賞ウイナーに輝き、4歳時の飛躍につなげた。
「ファンはせっかちすぎると思ったなぁ。まさか10番人気とは。マークが薄くなったところで1番枠を引き、インぴったりを絶妙のペース(前半3ハロン34秒3、後半を34秒2)で回ってこれたからね。テンションの高さに配慮し、返し馬までパシュファイヤーを装着。レースでは初めて耳覆いを着けたままで走らせた。その効果も絶大だったよ」
 厳寒期は調子が上がらない傾向にあったが、オーシャンS(9着)を経て、高松宮記念では3着に逃げ粘った。デビュー時との比較で体重が30キロ以上も増え、CBC賞をクビ差の2着すると、アイビスサマーダッシュに優勝。持ったままで先手を奪い、ラスト2ハロン目で10秒3まで加速して勝負あり。余力たっぷりに外ラチ沿いを駆け抜けた。
「一段とうるさくなり、高松宮記念以降、なかなか馬場に入ろうとしない。夏になったら、くるくる回転するようにもなって。すっかり有名になって恥ずかしかったが、それでも結果が出ているからね。ご愛嬌の範囲。左へしか回らないし、ジョッキー(酒井学騎手)も対処に慣れている」
 馬房のなかでも旋回癖を見せるのだが、この場合はなぜか決まって右回りとのこと。気持ちのオン・オフが極端なだけで、自ら体力を削ってしまうほどではなかった。ますます勢いに乗り、セントウルSでは絶対王者のロードカナロアを退けてしまう。後続が迫るのを冷静に待ち、ラストで突き放す完璧な内容だった。
「どうしても展開が鍵となるが、もともと2完歩目は日本一の速さ。それにパワーや持久力も加わり、もう簡単には止まらない」
 スプリンターズSも2着に食い下がり、充実ぶりをアピールする。ライバルのマークもきつく、その後は未勝利に終わったとはいえ、高松宮記念(5着)、セントウルS(2着)、オーシャンS(2着)、高松宮記念(2着)、オーシャンS(2着)などで、場内を沸かせた。
 7歳時の高松宮記念(11着)がラストラン。レックススタッドで種牡馬入りした。並外れたダッシュ力は、きっと後世へも伝わるに違いない。いまから産駒のデビューが待ち遠しい。
 


第13回 アイビスサマーダッシュGⅢ
1着ハクサンムーン   牡4 56 酒井学  西園正都
2着フォーエバーマーク 牝5 54 村田一誠 矢野英一
3着リトルゲルダ    牝4 54 柴田大知 鮫島一歩

 単勝  210円
 枠連  720円
 馬連 1,000円
 馬単 1,510円

3連複  2,840円
3連単  10,140円




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