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『牡馬を翻弄する優美なカクテル』


【2017年 オールカマー】

 2歳9月、新潟の芝1800mで迎えた新馬を楽々と差し切ったルージュバック。駆使したラスト3ハロンは32秒8の鋭さだった。
 管理する大竹正博調教師も、想像以上のパフォーマンスに驚かされたという。
「東京開催でのデビューを目標にしていましたが、3本の追い切りのみでも軽々と動けていました。前倒しして正解。輸送も堪えず、落ち着いて臨めましたよ。牡馬相手に強い勝ち方。示した瞬発力は天性のものです。一気に夢がふくらみました」
 レッドディザイア(秋華賞)、ジョーカプチーノ(NHKマイルC)、ヒルノダムール(天皇賞・春)、グレープブランデー(ジャパンダートダービー、フェブラリーS)、クイーンズリング(エリザベス女王杯)など、様々なカテゴリーに一流馬を送るマンハッタンカフェが父。母ジンジャーパンチ(その父オーサムアゲイン)はBCディスタフをはじめ、米G1を6勝してエクリプス賞最優秀古牝馬に輝いた名牝である。母より連想され、高級ブランデーをジンジャーエールで割ったカクテルの名が付けられた。
 体質は繊細ながら、自ら体をつくり、無理なく出走態勢が整ってしまう。早くから短期間のトレセン在厩でレースに臨むスタイルが確立した。百日草特別も2馬身半差の完勝。
タイムは2歳レコードだった。折り合いを欠くことがなく、もともとセンスも優秀。たっぷり間隔を開け、きさらぎ賞で初のタイトルを奪取する。
 ところか、桜花賞はスローペースに泣いて9着。オークスで2着に巻き返したものの、札幌記念を熱発して回避する。リズムが狂い、エリザベス女王杯(4着)、有馬記念(10着)ともG1の壁に跳ね返されてしまった。
 飛躍を期した4歳シーズンも、中山牝馬S(2着)、ヴィクトリアマイル(5着)とほろ苦い結果。それでも、エプソムCに続き、毎日王冠も鮮やかな差し切りを決め、実力を再認識させた。
 天皇賞・秋(7着)、ジャパンC(9着)を経て、5歳春は金鯱賞(8着)より戦列に復帰。ヴィクトリアマイル(10着)でも人気を裏切り、ピークは過ぎたのかと思わせた。オールカマーでは単勝5番人気に甘んじる。ただし、トレーナーはうれしい変化を感じ取っていた。
「飼い食いの細さが付きまとい、なかなか状態が戻り切らなかったのですが、だいぶ芯が入ってきました。放牧先の北海道からの移動による疲れを1週間、癒したうえ、ゆっくり立ち上げられましたね。相変わらず毛艶はひと息でしたし、使って良化するよう、あまり多くを求めずにレースへと送り出したとはいえ、ようやく中身の濃い調教を施せたんです」
 スローペースを見越し、北村宏司騎手は好位のインに導いた。直線もロスなく内ラチ沿いにこだわり、狭い馬群を割る。上位5頭が横並びとなった接戦をぐいと伸び切り、半馬身、振り切ったところがゴールだった。
「スタートが良く、位置取りは前目。正直、びっくりしましたよ。乗り役の好判断。特に4コーナーの進路が良かった。終いは確実に脚は使えますからね」
 しかし、大目標のエリザベス女王杯は後方の位置取りが堪え、9着に終る。ラストランの有馬記念でも後方から最速の上がり(3ハロン34秒3)を繰り出し、5着に食い下がり、惜しまれつターフを去った。
 筋が通った血統背景に加え、牡のトップクラスを相手に4つの重賞を勝ち取った実績の持ち主だけに、繁殖としての価値は高い。きっと産駒たちも非凡な切れ味を受け継ぎ、華々しく活躍するに違いない。
 


第63回 産経賞オールカマーGⅡ
1着ルージュバック  牝5 55 北村宏司 大竹正博
2着ステファノス   牡6 56 戸崎圭太 藤原英昭
3着タンタアレグリア 牡5 57 蛯名正義 国枝栄

 単勝  780円
 枠連 1,370円
 馬連 1,700円
 馬単 3,700円

3連複  3,340円
3連単  20,150円




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