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『たくましいボディーに名将の夢を乗せて』


【2006年 全日本2歳優駿】

 66歳でこの世を去るまで他を圧倒するバイタリティーを燃やし、南関東を牽引した川島正行調教師。1990年の開業以来、1276勝(重賞を139勝、うちG1は13勝)を積み重ねた。晩年になっても自身を鼓舞するように、こんな言葉を残している。
「一度だけだが、船橋のリーディングジョッキーになった(1976年)こともあったし、トレーナーとしても目指すところまできたかなと、ちらっと頭に浮かんだこともある。でも、いまは地方競馬が苦しい時代だからね。余計に後へは引けないなぁ。いい馬が育ち、乗り手のレベルも高いのが船橋の伝統。中央以上に歓声があふれていたころもあったんだよ。みんながもっと努力して、誰もが認めるスターホースをつくっていけば、ファンも振り向いてくれるはず。どうしても気持ちばかりが先走ってしまうし、良いものはどんどん取り入れてきたつもりだけど、悩んだときほど原点に戻るべきだと気付いてね。やはり、しっかり手をかけ、懸命に馬と接するのが基本。ひとつひとつの積み重ねを大切にしないと」
 管理した代表格にはアジュディミツオー(東京大賞典2回、川崎記念、かしわ記念、帝王賞)もいるが、NARグランプリ年度代表馬を4回受賞し、地方所属として歴代最多の獲得賞金を稼いだのがフリオーソ。巨星の情熱が詰め込まれた逸材だった。
 長きに渡って一流馬を輩出したブライアンズタイムの産駒。母ファーザ(その父ミスタープロスペクター)は不出走だが、祖母のバヤ(仏G3・グロット賞)が仏オークスの2着馬であり、ヨーロッパの重賞ウイナーがずらりと並ぶ豪華なファミリーだ。同馬の弟妹にトーセンルーチェ(ダイオライト記念3着)、ルナフォンターナ(6勝)らがいる。
 2歳7月、船橋のダート1400mでデビュー勝ちすると、ナドアルシバ競馬場Cも連勝。平和賞こそハナ差の2着に敗れたが、全日本2歳優駿ではJRA勢を一蹴し、早くもG1を奪取する。好位から力強く抜け出し、後続に2馬身の差を付けた。
「走破タイムや接していて伝わってくる感触を考えれば、アジュディミツオーの域には及ばない。でも、本当に大人しい性格で、忍耐強いんだ。スピードで押し切るというより、相手がバテるところでも同じラップを維持して凌ぐタイプ。偉い馬だよ」
 芝へチャレンジした共同通信杯(7着)やスプリングS(11着)では結果を残せなかったものの、羽田盃(3着)をアタマ+クビ差、東京ダービーもクビ差の2着に健闘。向正面でハナを奪ったジャパンダートダービーは、2馬身半差の完勝だった。
 古馬が相手となったJBCクラシック(2着)以降も、世代のトップとして渡り合う。スタートで躓いたジャパンCダート(10着)は参考外。東京大賞典(2着)、川崎記念(2着)と王道を歩み、ダイオライト記念で5馬身差の楽勝。しっかり力を蓄えて帝王賞に向かい、ダート界のチャンピオンに君臨する。
 だが、ハイペースが堪え、秋緒戦の日本テレビ盃は2着。前年と同様、王道を歩んだものの、5歳時のダイオライト記念まで勝利から遠ざかった。その後も帝王賞(2着)、川崎記念(2着)、かしわ記念(2着)などで見せ場をつくりながら、7連敗を喫する。
「しばらくは内臓面が本物でなく、皮膚病にも悩まされた。すっかり立ち直ったのが6歳の帝王賞。あの相手でも勝てる手応えがあったよ。楽なペースではなかったが、最後まで脚を伸ばし、後続を2馬身半も突き放した。以前よりワンランク上の調教ができ、ぐんと毛艶が冴えてきたね。馬も自信を取り戻していたように映った」
 日本テレビ盃も連勝。スマートファルコンの台頭があり、JBCクラシック、東京大賞典とも2着に敗れたとはいえ、状態は高いレベルで安定していた。5馬身差で川崎記念を制し、フェブラリーSも2着に追い込む。
 かしわ記念が最後の勝利。それでも、屈腱炎を乗り越え、翌年のかしわ記念で2着に浮上する。東京大賞典(6着)まで懸命に駆け抜けた。
 ダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスでスタッドイン。いまのところ、良績は地方に片寄っているが、同馬の底力があれば、あっと驚く大物が出現しても不思議はない。
 


第57回全日本2歳優駿(GI)
1着フリオーソ    牡2 55 内田博幸 川島正行
2着トロピカルライト 牡2 55 福永祐一 二ノ宮敬
3着アンパサンド   牡2 55 今野忠成 池田孝

 単勝  710円
 枠連  820円
 馬連 1,010円
 枠単 2,230円
 馬単 2,310円

3連複  19,040円
3連単  98,320円




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