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『黄金時代の到来を告げるファーストステップ』


【2011年 皐月賞】

 東日本大震災による中山の開催中止が影響し、通常より1週遅れの東京で行われた2011年皐月賞。待ちわびた春に躍動したのがオルフェーヴルだった。後方でじっくり脚をため、直線は一気に馬群を割った。当時は単勝10・8倍の4番人気に甘んじていたが、2着に3馬身差。黄金時代の到来を予感させる完勝である。
「子供のころから東京でG1に勝つのが夢でした。素直にうれしいです。戦前は左回りを不安視されましたが、中山の2000mよりもこの馬向きだと思っていましたよ。外目の枠順(12番)も気にしていませんでしたが、開幕週は外が伸びない傾向にありますので、ロスのない位置をキープしてほしかった。池添くん(謙一騎手)がうまく乗ってくれましたね。それにしても、想像を超えたパフォーマンスです。激しくイレ込みが課題だったなか、ノーザンファームしがらきのスタッフが懸命に教え込んでくれ、それを厩舎で受け継ぎ、さらにジョッキーがフルに能力を引き出してくれた。短い期間に、よくぞ気性面の課題を克服してくれたと感心させられますね。東京は母父のメジロマックイーンが強さを示しながら降着となった舞台(天皇賞・秋)。父ステイゴールドもここでのG1にはあと一歩で手が届かなかった。きょうも装鞍所で立ち止まる仕草を見せたとき、ゆかりの一族たちが同様だったことを思い出しました。兄のドリームジャーニーで勉強したことも、この一戦につながっています」
 と、池江泰寿調教師は笑みを浮かべた。
 生れ落ちたときより窮屈なところがない好スタイルを誇り、サンデーサラブレッドクラブの募集総額は6000万円という高額の設定。育成先のノーザンファーム空港では出走をあせらずに育てられたが、それでも頭角を現すのは早かった。2歳5月には栗東近郊のグリーンウッド・トレーニングヘ。1か月後に入厩した。
「父の良さがストレートに伝わっています。回転の速さで勝負するジャーニーとは対照的に、より柔軟でダイナミックなストライド。兄より生まれが遅いのに、ひと回り大きなサイズ。飼い葉をしっかり食べてくれますし、同時期の体質を比べても数段、丈夫でした。自信を持ってデビューさせました」
 ドリームジャーニーも第一歩を踏んだ8月の新潟(芝1600m)に初登場。上がり33秒4の末脚を駆使し、あっさり初勝利を収めた。ただし、思わぬ課題を露呈する一戦ともなる。
「普段は素直なのに、装鞍所で態度が豹変し、もうパニック。抑えられずに植え込みへ突っ込むほどでしたよ。レースで加速すると左に大きく切れ、入線後はラチにぶつかってジョッキーを振り落としてしまった。こんな面があるのかと、唖然とするばかりでした」
 ホエールキャプチャにクビ差及ばず、2着に泣いた芙蓉S。京王杯2歳S(10着)では出負けしてリズムを崩し、直線も内ラチに体を寄せて追えずにゴールした。
「押したことでかっとしたのがすべて。参考外と考えています。少し時間はかかりましたが、苦い経験があったからこそ、みなで調整を工夫。目指す大舞台に賭ける気持ちがひとつに結集しましたね。それに応え、一戦ごと着実に進歩を示してくれたんです」
 シンザン記念(2着)のラスト3ハロンは33秒5の鋭さ。きさらぎ賞(3着)も流れに恵まれずに勝ち切れなかったものの、メンバー中で最速の末脚(33秒2)を爆発させている。大外を突き抜け、スプリングSで重賞を初制覇。クラシックの足音を察知するかのように、めきめき充実したのだ。
 ダービーではウインバリアシオンの追撃を抑え、あっさりと2冠を奪取した。順調に夏を越し、神戸新聞杯を2馬身半差で突破。そして、菊花賞でも無理なくポジションを上げ、直線で早めに先頭へ踊り出ると、危なげなく後続を振り切った。皐月賞時は440キロだった馬体が、きっちり鍛え上げた3冠目では466キロに増加していた。フィジカル面の変貌も見逃せなかった。
「2戦目以降は4連敗した過去があるとはいえ、伝説の名馬たちと比べても、これだけの成長力を示す馬は例がありません。春当時のパドックでは見劣りするスタイルだったのに、首さしやトモに筋肉が備わり、ずいぶん大人っぽくなりました。理想的な位置で運べるようになったのは、操縦性が高まっただけでなく、背腰の甘さが解消したため。瞬時にゲートを出ていけるようになりましたよ」
 続く有馬記念では古馬を撃破。3歳にして日本を代表するチャンピオンに登り詰めた。
阪神大賞典(2着)の逸走、天皇賞・春(11着)での挫折を跳ね除け、宝塚記念で復活の勝利を上げる。凱旋門賞(2着)は、ゴール前でインに切れ込んで失速したとはいっても、馬群をひと飲みした空前絶後の脚は、後世へも語り継がれるだろう。厳しいローテーションに加え、馬体をぶつけられる不利がありながら、ジャパンCでも2着に健闘した。
 5歳時は大阪杯(1着)より始動。鼻出血に配慮し、宝塚記念を回避する誤算もあったが、フォア賞の連覇、凱旋門賞での連続2着へと歩を進める。そして、引退レースの有馬記念は8馬身差のワンサイド勝ち。ベストパフォーマンスで有終の美を飾った。
「いい意味でも、悪い意味でも、想像を裏切ってきましたので、オルフェーヴルらしいラストランとなりました。凱旋門賞にピークを持っていきましたので、やはり反動はあり、中間の調整は難しかった。状態は8分くらいと見ていて、どうかなという思いもあったのですが、圧倒的な走りにびっくり。この馬と出会え、夢のような3年半を過ごすことができました。家族みたいな存在ですし、家族より一緒にいる時間が長かった。産駒で凱旋門賞に勝つという新たな夢もできましたしね。感謝するしかない」
 会心のゴールを決めても、たとえ敗れたとしても、希望がふくらむ一方だったオルフェーヴルの軌跡。種牡馬としても、早速、ラッキーライラック(阪神JF)、エポカドーロ(皐月賞)を輩出している。父の域に達する大物の出現が待ち遠しい。
 


第71回皐月賞(GI)
1着オルフェーヴル 牡3 57 池添謙一 池江泰寿
2着サダムパテック 牡3 57 岩田康誠 西園正都
3着ダノンバラード 牡3 57 武 豊  池江泰寿

 単勝 1,080円
 枠連  570円
 馬連 1,260円
 馬単 3,740円

3連複  9,220円
3連単  55,450円



【2011年 皐月賞】

 東日本大震災による中山の開催中止が影響し、通常より1週遅れの東京で行われた2011年皐月賞。待ちわびた春に躍動したのがオルフェーヴルだった。後方でじっくり脚をため、直線は一気に馬群を割った。当時は単勝10・8倍の4番人気に甘んじていたが、2着に3馬身差。黄金時代の到来を予感させる完勝である。
「子供のころから東京でG1に勝つのが夢でした。素直にうれしいです。戦前は左回りを不安視されましたが、中山の2000mよりもこの馬向きだと思っていましたよ。外目の枠順(12番)も気にしていませんでしたが、開幕週は外が伸びない傾向にありますので、ロスのない位置をキープしてほしかった。池添くん(謙一騎手)がうまく乗ってくれましたね。それにしても、想像を超えたパフォーマンスです。激しくイレ込みが課題だったなか、ノーザンファームしがらきのスタッフが懸命に教え込んでくれ、それを厩舎で受け継ぎ、さらにジョッキーがフルに能力を引き出してくれた。短い期間に、よくぞ気性面の課題を克服してくれたと感心させられますね。東京は母父のメジロマックイーンが強さを示しながら降着となった舞台(天皇賞・秋)。父ステイゴールドもここでのG1にはあと一歩で手が届かなかった。きょうも装鞍所で立ち止まる仕草を見せたとき、ゆかりの一族たちが同様だったことを思い出しました。兄のドリームジャーニーで勉強したことも、この一戦につながっています」
 と、池江泰寿調教師は笑みを浮かべた。
 生れ落ちたときより窮屈なところがない好スタイルを誇り、サンデーサラブレッドクラブの募集総額は6000万円という高額の設定。育成先のノーザンファーム空港では出走をあせらずに育てられたが、それでも頭角を現すのは早かった。2歳5月には栗東近郊のグリーンウッド・トレーニングヘ。1か月後に入厩した。
「父の良さがストレートに伝わっています。回転の速さで勝負するジャーニーとは対照的に、より柔軟でダイナミックなストライド。兄より生まれが遅いのに、ひと回り大きなサイズ。飼い葉をしっかり食べてくれますし、同時期の体質を比べても数段、丈夫でした。自信を持ってデビューさせました」
 ドリームジャーニーも第一歩を踏んだ8月の新潟(芝1600m)に初登場。上がり33秒4の末脚を駆使し、あっさり初勝利を収めた。ただし、思わぬ課題を露呈する一戦ともなる。
「普段は素直なのに、装鞍所で態度が豹変し、もうパニック。抑えられずに植え込みへ突っ込むほどでしたよ。レースで加速すると左に大きく切れ、入線後はラチにぶつかってジョッキーを振り落としてしまった。こんな面があるのかと、唖然とするばかりでした」
 ホエールキャプチャにクビ差及ばず、2着に泣いた芙蓉S。京王杯2歳S(10着)では出負けしてリズムを崩し、直線も内ラチに体を寄せて追えずにゴールした。
「押したことでかっとしたのがすべて。参考外と考えています。少し時間はかかりましたが、苦い経験があったからこそ、みなで調整を工夫。目指す大舞台に賭ける気持ちがひとつに結集しましたね。それに応え、一戦ごと着実に進歩を示してくれたんです」
 シンザン記念(2着)のラスト3ハロンは33秒5の鋭さ。きさらぎ賞(3着)も流れに恵まれずに勝ち切れなかったものの、メンバー中で最速の末脚(33秒2)を爆発させている。大外を突き抜け、スプリングSで重賞を初制覇。クラシックの足音を察知するかのように、めきめき充実したのだ。
 ダービーではウインバリアシオンの追撃を抑え、あっさりと2冠を奪取した。順調に夏を越し、神戸新聞杯を2馬身半差で突破。そして、菊花賞でも無理なくポジションを上げ、直線で早めに先頭へ踊り出ると、危なげなく後続を振り切った。皐月賞時は440キロだった馬体が、きっちり鍛え上げた3冠目では466キロに増加していた。フィジカル面の変貌も見逃せなかった。
「2戦目以降は4連敗した過去があるとはいえ、伝説の名馬たちと比べても、これだけの成長力を示す馬は例がありません。春当時のパドックでは見劣りするスタイルだったのに、首さしやトモに筋肉が備わり、ずいぶん大人っぽくなりました。理想的な位置で運べるようになったのは、操縦性が高まっただけでなく、背腰の甘さが解消したため。瞬時にゲートを出ていけるようになりましたよ」
 続く有馬記念では古馬を撃破。3歳にして日本を代表するチャンピオンに登り詰めた。
阪神大賞典(2着)の逸走、天皇賞・春(11着)での挫折を跳ね除け、宝塚記念で復活の勝利を上げる。凱旋門賞(2着)は、ゴール前でインに切れ込んで失速したとはいっても、馬群をひと飲みした空前絶後の脚は、後世へも語り継がれるだろう。厳しいローテーションに加え、馬体をぶつけられる不利がありながら、ジャパンCでも2着に健闘した。
 5歳時は大阪杯(1着)より始動。鼻出血に配慮し、宝塚記念を回避する誤算もあったが、フォア賞の連覇、凱旋門賞での連続2着へと歩を進める。そして、引退レースの有馬記念は8馬身差のワンサイド勝ち。ベストパフォーマンスで有終の美を飾った。
「いい意味でも、悪い意味でも、想像を裏切ってきましたので、オルフェーヴルらしいラストランとなりました。凱旋門賞にピークを持っていきましたので、やはり反動はあり、中間の調整は難しかった。状態は8分くらいと見ていて、どうかなという思いもあったのですが、圧倒的な走りにびっくり。この馬と出会え、夢のような3年半を過ごすことができました。家族みたいな存在ですし、家族より一緒にいる時間が長かった。産駒で凱旋門賞に勝つという新たな夢もできましたしね。感謝するしかない」
 会心のゴールを決めても、たとえ敗れたとしても、希望がふくらむ一方だったオルフェーヴルの軌跡。種牡馬としても、早速、ラッキーライラック(阪神JF)、エポカドーロ(皐月賞)を輩出している。父の域に達する大物の出現が待ち遠しい。
 


第71回皐月賞(GI)
1着オルフェーヴル 牡3 57 池添謙一 池江泰寿
2着サダムパテック 牡3 57 岩田康誠 西園正都
3着ダノンバラード 牡3 57 武 豊  池江泰寿

 単勝 1,080円
 枠連  570円
 馬連 1,260円
 馬単 3,740円

3連複  9,220円
3連単  55,450円




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