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『陸奥のターフにそびえ立つ勇壮な山脈』


【2007年 七夕賞】

 佐々木晶三厩舎を支えてきた名繁殖がアンデスレディー(その父ノーザンテースト、1勝)。当初は別の厩舎に預託される予定だったオーバーザウォール(福島記念、5勝)を引き受けて以来、フォルクローレ(6勝、アルバートの母)、インティライミ(京都大賞典など重賞3勝、ダービー2着)、フィッツロイ(3勝)らが活躍している。
「巡り会いに感謝するしかない。高齢になってもすばらしい仔を産んでくれたよ。ただ、素質がある反面、この一族には調整の難しさも付きまとう。みな気性が激しいうえ、オーバーザウォールやインティライミは蹄が弱かった。ワスカラン(2勝)も屈腱炎で大成できず、なんぼ勝つんやろってドキドキしたナスカ(未出走、秋華賞を3着したアロマティコの母)だって腰部を骨折。あの馬もなかなか脚元が固まらなくて、ずいぶんやきもきさせられたね」
 佐々木師がしみじみと振り返るのは、福島で重賞を2勝したサンバレンティン(父スペシャルウィーク)のこと。早くから才能を開花させたインティライミの全兄でありながら、出世には時間がかかった。
 3歳7月、阪神のダート1200m(11着)でデビュー。続く小倉の芝1800mを勝ち上がったものの、完成途上で全力を尽くした反動は大きく、半年間の休養に入る。
 4歳3月の美濃特別、6月には函館(1800m)と、500万下を快勝。西郷特別で4勝目を手にした。ただし、当時はスタートが不安定であり、折り合いを欠くケースも多々。父内国産限定の中日新聞杯に格上挑戦した際も7着止まりだった。
 5歳シーズンは中京スポーツ杯を豪快に差し切り、好スタートを決める。果敢に金鯱賞(6着)へ臨んだ後、大阪スポーツ杯に優勝。晴れてオープン馬となった。粗削りな個性は変わらなかったものの、心身ともにたくましくなり、破壊力を増してきた。
 秋緒戦の富士S(7着)では、直線で前が壁になりながら差を詰める。そして、福島記念に向かい、重賞初制覇を果たす。
「この馬で初めてうまく乗れた。ポテンシャルはかなり。もっと上を目指せる器だよ」  と、騎乗した佐藤哲三騎手も安堵の笑顔を浮かべた。
 だが、挟まる不利を受けた鳴尾記念(11着)に続き、東京新聞杯(6着)でも他馬と接触。リズムに乗れず、5連敗で七夕賞を迎える。開催最終日の荒れた福島コースを味方に、同馬は堂々と蘇った。
 前半は後方で息を潜め、進出のタイミングをうかがう。ロスなく3、4コーナーを回ってポジションを上げ、直線もインを突く。一気に加速して先頭集団を交わすと、大外に持ち出した2着のアドマイヤモナークに1馬身1/4のリードを付け、ゴールに飛び込んだ。
 後藤浩輝騎手らしい思い切ったプレー。殊勲のジョッキーは、こう胸を張った。
「内目を狙ったのは、佐々木先生と打ち合せていたこと。こんな馬場は得意だからね」  札幌記念でサマー2000シリーズの王座を狙ったのだが、インフルエンザ発生による開催取りやめ、レース延期に伴い、2度も北海道へ輸送することに。消耗は大きく、14着と惨敗してしまう。
 いったん狂った歯車は結局、修正できなかった。以降の9戦も見せ場をつくれず、7歳秋の朝日チャレンジC(5着)を最後に現役を退いた。
 もろさが同居していたゆえ、真の強さも霞みがちなサンバレンティンだが、その名(アンデス山脈の最高峰)のとおりに一族の誇り。福島のターフには、その魂がしっかりと刻み込まれている。
 


第43回七夕賞(GⅢ)
1着サンバレンティン  牡6 57 後藤浩輝 佐々木晶三
2着アドマイヤモナーク 牡6 55 安藤勝己 松田博資
3着ユメノシルシ    牡5 56 吉田豊  大久保洋吉

 単勝  870円
 枠連 2,090円
 馬連 2,370円
 馬単 4,950円

3連複  3,870円
3連単  26,210円




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