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『誇り高き精神を受け継いだ名門のプリンス』


【2013年 マーキュリーカップ】

 石坂正厩舎にとって宝物のような繁殖といえるスカーレットレディ(父サンデーサイレンス、2勝)に、トップサイアーのキングカメハメハが配され、生まれ落ちた瞬間より大きな夢を託された逸材だったソリタリーキング。半兄にサカラート(重賞を4勝)、ヴァーミリアン(GⅠ9勝を含む重賞13勝)、キングスエンブレム(父ウォーエンブレム、3勝)らがいる。サンデーサラブレッドクラブでの募集価格は、総額1億6000万円だった。
「ヴァーミリアンやキングスエンブレムは、能力が高いからこそ芝も走った。ただ、クラシックにこだわり、遠回りした思いもあるからね。この仔は絶対、ダートで下ろす」
 と、入厩前から石坂調教師は宣言していた。
 2歳12月、阪神のダート1800mに初登場すると、とても届きそうもない位置から直線一気を決めた。続く500万下(京都のダート1800m)も楽な手応えで勝ち上がる。ヒヤシンスSでは、完成度で勝るバーディバーディの2着に敗れたが、ここでも末脚はきらりと光り、着差はわずかクビだった。
 担当した和田直人調教助手は、こう若駒当時を振り返る。
「明らかに乗り込み量が足りなかったのに、初戦から衝撃的な内容。さすがにこの血だと感心させられましたよ。武豊騎手は、『上がっていくときの脚にヴァーミリアンに共通するものがある』って。外見はまったく違うのですが、性格は似ていて、調教で動かないあたりも一緒です。競馬で素直ですし、どのポジションでも折り合いが付く。ただ、まだまだ幼く、スプリングS(14着)で体力が限界に。それ以降は運にも恵まれず、なかなかリズムに乗れませんでした」
 出負けしたうえ、前が詰まったあおぎりS(4着)を経て、鷹取特別を勝ち上がったものの、レパードS(3着)では左前を落鉄してしまう。歩様が乱れ、5か月間の休養へ。4歳前半も体調が本物でなく、2戦を消化しただけで放牧へ出た。
「桃山S(2着)のころになり、ようやく調子を取り戻してきました。ところが、上賀茂S(10着)の3コーナーで爪をぶつけてしまったんです」
 裂蹄が癒えるのをゆっくりと待つ間にも体質が強化され、京都の1000万下(ダート1800m)に続き、赤富士Sも勝利。JCダート(8着)へも駒を進めた。
 出遅れが響いた仁川S(8着)、芝に挑んだ大阪杯(12着)と足踏みしたが、ブリリアントSは5馬身差の楽勝。和田さんもうれしい変化を感じ取っていた。
「以前とは集中力が違い、自分を見失うことなく、きちんと結果を出してくれるように。トレセンでは他馬が恋しくて落ち着きがなくても、自信をつけてきたのか、パドックでは堂々と振舞います。関東圏へ輸送すると、飼い葉を食べてくれないのですが、減るのを見越して調整すれば大丈夫。安心して仕上げられました」
 東海Sでは念願のタイトルに手が届く。激しい追い比べをきっちりと抜け出した。秋緒戦の日本テレビ盃に優勝。続くJBCクラシックを4着するなど、トップクラスを相手に善戦を重ねる。
「もともと典型的なダート馬とは乗り味が異なり、背中が伸び縮みしますし、砂をがっちりとらえるというよりも滑るように前進するのが特徴。軽い走りはキングスエンブレムに近いのですが、つなぎが立っている兄に対して、こちらは手先も柔軟です。そんななか、ぐっと重厚感も加わって軸がぶれなくなっていました。トモの張りを増し、肉体的にも完成されましたね」
 競走生活のハイライトとなったのがマーキュリーC。前走の平安S(9着)は後方で動けなかったため、4番人気(単勝6・8倍)に甘んじていたが、スターが決まり、2番手をキープ。4コーナーからスパートして、早めに先頭へと躍り出る。最後まで脚色は衰えず、熾烈な2着争いを尻目に、コンマ2秒の差を付けて悠々とゴールに飛び込んだ。
 結局、これが最後の勝利となったが、6歳以降に重賞での2着が5回。3着も5走あり、そのなかにはJBCクラシック、帝王賞での健闘が光る。
 9歳時のマーキュリーC(7着)まで全44戦を辛抱強く戦い抜き、「孤高な王」との名にふさわしい実績を残したソリタリーキング。名門の系譜を豪華に発展させた勇者だった。
 


第17回 マーキュリーカップ(JPNⅢ)オープン
1着マイネルスターリー 牡5 56 ホワイト 加用正
2着ジャミール     牡4 56 安藤勝己 松元茂樹
3着ドリームサンデー  牡6 57 池添謙一 池江泰郎

 単勝  680円
 枠連 1,370円
 馬連 1,270円
 枠端 1,370円
 馬単 2,960円

3連複   620円
3連単  8,880円




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