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新馬マリオが強烈な走りで初陣V 派手さはなくとも味のある血統に注目

ジャパンカップダートを制したエスポワールシチー(右)=09年12月6日

 毎週、金曜日のデイリースポーツ紙上で『夢駆ける新馬』というコーナーを掲載している。「この馬どう?面白い血統やで」。先月、候補馬を挙げる段階で、後輩記者にこう提案するも見向きもされず、あっさりと却下された馬がいる。ディープインパクト産駒でもなければ、G1馬のきょうだいでもない。はっきり言って血統は地味だ。それでも、その背景にロマンがある。母の馬名から名付けられた鹿毛馬。マリオ(牡2歳、栗東・安達昭夫厩舎)である。

 厩舎の結晶だ。父、母、祖母はそろって安達昭夫調教師が手掛けている。父エスポワールシチーは、厩舎に初のG1タイトルをもたらした功労馬。JRA・G1は09年JCダート、10年フェブラリーSの2勝。交流G1は09、10、12年のかしわ記念に、12、13年の南部杯連覇など7勝。10年には当時の米国最強馬ゼニヤッタが出走した米BCクラシックへ果敢に挑戦(10着)した。日本が誇るダート界の名馬だ。

 母系にも引かれる。祖母ヤマトプリティは定年解散した斉藤義美厩舎から、安達厩舎が引き継いだ馬だった。厩舎開業は00年3月。その初陣を務めたのが鳴門S出走(2着)のヤマトプリティ。そんな思い出深いヤマトプリティの子が、マリオの母ヤマトマリオンだ。ダートで2勝を挙げたあと、芝に参戦。06年フローラSを10番人気で勝利した。その後しばらくは勝てないレースが続いたものの、ダートに戻した東海Sでいきなりの重賞制覇。13番人気と、またも人気薄での美酒だった。芝、ダート合わせて四つの重賞タイトルを手にして11年2月に繁殖入りした。

 ヤマトマリオンの引退から3年後。ちょうど種牡馬デビューを果たしたエスポワールシチーとの配合で誕生したのが初子のマリオ。「初子は小さい馬が出るからね。馬主さんにも安くて負担のかからない馬を、と思ってお薦めしたんです」と安達師。想像していたよりも大きな馬が産まれたのはうれしい誤算だった。

 10月29日に行われた京都の新馬戦。マリオはダート1800メートルでデビューした。ゲートがひと息で出脚も鈍く、後方待機。直線はいったん前が壁になったが、外へ出したラスト1Fからが強烈だった。抜け出す脚が速く、見事に勝利を飾った。トレーナーは「使っていけば、どこかで走ってくるとは思っていたけど、新馬戦でこれだけ走ってくれるとは。うれしいですね。センスがある」と喜ぶ。

 父と母。どちらに似ているのだろうか。「母の性格はきつかったけど、この馬は父に似ておとなしい。ピリピリとしないし、根性がある。首の使い方は母に似ていますね。父は胴が詰まっていたけど、この馬はバランスがよくて馬体に延びがある」。性格は父譲り、走法は母譲り。馬体はどちらにも似ておらず、マリオ特有のものだろうか。

 ディープインパクト産駒もいいだろう。重賞戦線で好成績を残すキングカメハメハ産駒や、2歳戦で早くも重賞2勝を挙げるオルフェーヴル産駒も人気を集める。ただ、厩舎の思いが込められた、こういう血統も味があって応援したくなる。次走に予定している、もちの木賞(11月18日・京都)もぜひ注目してほしい。


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